コラム
【ピアノ上達】保育士を目指すならピアノは必須?ピアノが苦手でも上手になるコツ


保育士として活躍したい方にとって、「ピアノを弾けるようになること」は一つの大きなハードルですよね。
子供たちに喜んでもらい、仲良くコミュニケーションを取るためにもピアノのスキルは必須なイメージがあります。
しかし実際の保育求人などを見ても、必要なピアノスキルは明示されていないですし、楽器をやった事がない人からすれば、一からピアノを始めることは容易なことではありません。
「ピアノが弾けないと保育士になれないの?」
「どれくらいピアノを弾ければ就職は有利になる?」
「ピアノは苦手でどう練習していいかわからない」
と悩んでいる方は多数いらっしゃると思います。
保育士として働くためには、「ピアノを弾けるようにならなければならない」とイメージを持っている方は非常に多いと思います。
こういった悩みを解決するために、今回の記事では、保育士として活躍するためにどれくらいのピアノスキルが必要なのか?を見ていきたいと思います。初心者に向けたピアノ練習法や、ピアノが弾けない保育士はどうするべきなのか?も合わせてご紹介しているので、最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
目次
保育士取得にピアノは必要?
保育士のイメージの一つとして、ピアノを弾きながら子供たちと楽しく歌を歌うシーンを思い浮かべる方は多いかと思います。
しかし、保育士になりたい人の中には、ピアノができずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
子供たちとピアノを通して、コミュニケーションをとる保育士のイメージが先行し、「ピアノを上手に弾けるスキルが無ければ保育士として働けないのではないか?」と心配になる学生さんも多数いらっしゃいます。
しかし結論から言うと、ピアノが弾けないと保育士になれないと言うわけではありません。
その理由は、保育士資格を取得するための保育士実技試験にあります。
保育資格取得のための試験内容
保育士になるためには、保育士の国家資格を取得することが必要です。
保育士資格は2003年の児童福祉法改正によって、民間資格から国家資格になりました。
そのため、試験の管轄は厚生労働省が行っています。
試験内容は「実技試験」と「筆記試験」に分かれており、筆記試験を受け合格した人が実技試験に進むという流れです。
実技試験の内容としては・・・。
・音楽
・造形
・言語
この3つの分野から2つを選びます。
音楽での表現が苦手な人は造形と言語で実技試験を受ける事ができます。
これが保育士が必ずしもピアノができる必要がない理由です。
仮に音楽を選んだ場合でも、ピアノ以外のアコースティックギター・アコーディオンなども選択肢として認められているので、ピアノで無ければいけない理由はありません。
しかし次のように、保育士資格の取得方法によっては、ピアノが必須となる場合があります。
それは、大学や専門学校に通う場合です。
指定保育士養成施設では、卒業すれば保育士資格を取得する事ができるようになっています。しかし、ほとんどの大学や専門学校ではピアノは必須科目になっているため、ピアノの最低限のスキルは必要になってくるのです。
ここまでは保育士資格を取得する際に、ピアノのスキルは必要かどうか?を見てきましたが、次からは実際の保育の現場でピアノスキルは必要かどうか?を見ていきたいと思います。
保育の現場でピアノは必要?
保育士資格取得にピアノスキルが必ずしも必要なわけではない、
とはいっても、やはり多くの現場では、ピアノを弾ける保育士が優先的に仕事を得る事ができるのも確かです。
求人や採用の情報にも、「ピアノが弾ける保育士」を求める園が大多数です。
なぜなら、実際の保育現場ではピアノを使う場面がたくさん存在するからです。
・子供と一緒に歌を歌う朝の会や帰りの会
・ゲームをするときの伴奏や合図
・リトミック指導の際
・クリスマス会やお遊戯会などのイベント時
など、さまざまなシーンが存在します。
ピアノが弾けない場合、他の保育士と分担してピアノ以外の役割(ダンスの振り付けやタンバリンなど)を任されることになります。
「子供たちの笑顔が見たい!」
という子持ちで保育士を目指すのであれば、働く場の選択肢を広げるためにも、ある程度のピアノスキルは持っておくと有利になるでしょう。
保育士に求められるピアノのレベルは?
では、実際に保育士に求められるピアノのレベルは、どの程度のものなのでしょうか?
技術レベルはバイエル終了程度
保育園からピアノの技術を求められた場合、バイエル終了程度の演奏スキルが必要と言われています。
バイエルとは、ピアノ初心者向けの入門書を指しています。
バイエルを習うことで、楽譜の音符や記号を読んだり、「右手がメロディーを奏でる、左手が伴奏」という演奏の基礎を身につけることができます。つまりバイエル終了程度とは、ピアノにおける「簡単な基礎」が身についている状態と言えます。
実際の現場では、童謡の曲をレパートリーとして、子供たちの前で演奏します。
そのため、初めてピアノを弾く人のために作れらたバイエルの練習は一見必要ないようにも見えます。
ですが、保育士を目指すのであればバイエルの練習は必須と言えます。
なぜなら以下のような理由が挙げられます。
・バイエルは就職試験で使っている園がある
・バイエルはその人の弾けるレベルを測る物差しになる
しかし園によってはバイエルを使わない試験が増えたり、個人で行っているピアノ教室でもバイエルを教えない先生もいらっしゃるようです。
日本の古くからの音楽教育は根強く残っているものでバイエル終了レベルは、保育士になるにあたって必要不可欠なレベルなのです。
バイエル教則本は店頭にもたくさん並んでいるので、自分に合ったものを選び練習をしてみましょう。
弾き歌いができることが大切
園によって求めるレベルは異なりますが、ピアノを弾きながら歌える、ということが一番大切なことです。
子供たちに元気よく歌ってもらう、歌うことを好きになってもらうためには、保育士自身がピアノを弾きながら楽しそうに歌う姿が必要です。
ピアノを弾きながら歌を歌うことは、ハードルが高いようにも思えます。
しかし、大切なのは上手に弾くことではなく、子供たちが保育活動を楽しく行うことです。
実際に、両手で引けないとしても片手で簡単な伴奏ができる、主旋律のみを奏でる事ができるレベルであれば、採用するにあたって特に問題無しとする保育園も多いです。
保育園などで定番になっている曲を、4-5曲弾けるようになっておけば間違い無いです。
定番曲はこの後の章で紹介します。
ピアノのスキルも保育技術と一緒で、上達には時間がかかるものです。
焦らずじっくりと練習を積んでいきましょう。
ピアノの練習方法は?
ピアノを弾けるようになるためには、保育の大学や専門学校に通う以外にも、音楽教室に通うなどの方法があります。
しかし前述の通り、保育士に必要なピアノのスキルは「弾きながら歌える」レベルです。
音楽教室に通うほどのピアノスキルは必要ありませんし、月謝が高くついてしまったり、定期的に通う必要があるため時間もかかります。ここでは音楽教室に通わず、保育士として必要なピアノスキルを独学で身につけるための方法と注意点を、ご紹介したいと思います。
それは以下の5つです。
・難易度が低いものから練習する
・片手ずつ練習する
・遅いテンポから練習する
・動画を利用して運指を覚える
・子供たちが楽しめる曲を練習する
一つずつみていきましょう。
難易度が低いものから練習する
ピアノが苦手なのであれば、無理に難易度の高い曲から挑戦する必要はありません。
「保育士になるなら難しい曲もできるようにならなくちゃ」
「周りが難易度の高い曲を練習してる、自分も同じようにやらなきゃ」
という焦りに駆られ、挫折してしまう初心者の方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、新しいことを始めたときはまず、慣れていくことから考えていかなければなりません。日々の積み重ねでピアノに対しての慣れを作ってから、練習は進んでいくものです。
また前述の通り、保育現場では難しい技術を求めていません。
難易度が低く、子供たちにも人気のある簡単な曲から練習し始めましょう。
子供たちにも人気、かつ定番で簡単な以下の曲から練習してみてはいかがでしょうか?
【キラキラ星】
この曲は楽譜が読みやすく、暗譜もしやすいです。
右手のメロディーはそのままで、左手の伴奏にアレンジを加えてあげるだけで雰囲気が変わるため、汎用性も高いのが特徴です。
大人から子供までみんな知っている定番曲なので、練習している自分も楽しくなってくるはずです。
【手をたたきましょう】
この曲は、ピアノに合わせて歌うだけでなく、足踏みをしたり手を叩いたりすることで、体も動かすことができる曲です。
体を動かしながら音楽を楽しむことができるため、リトミック指導の曲としても用いられる事があります。
伴奏の難易度も低めなので、ピアノが苦手な保育士さんでも挑戦しやすい定番曲です。
【チューリップ】
紹介する曲の中で一番難易度の低い曲といえます。
なぜならこの曲にはド〜ラの音しか使われていないからです。
簡単でありながら、年齢や性別を問わない定番曲として不動な人気を誇る定番曲です。
【大きな古時計】
曲のテンポがゆっくりなので、練習し始めに最適な曲であると言えます。
他の曲よりもゆっくりしても違和感は無いですし、楽譜のパターンも多く初心者向けにも多くアレンジされています。
「テンポが速い曲は苦手で緊張してしまう」
という方は是非、練習してみてください。
片手ずつ練習する
ピアノは両手で違う動きをしなければいけない楽器です。
最初から両手をバラバラに動かすのは、非常に難易度が高いです。
そのため、最初は片手ずつ練習することをオススメします。まずは右手のメロディーだけ練習し、上手に弾けるようになったら、左手で伴奏を合わせて見ましょう。
右手だけでも弾けるようになれば、実際の保育の現場でも使う事ができます。
遅いテンポから練習する
ピアノに限らずどのような楽器でも、まずは遅いテンポで弾き始めることが大切です。
反対に、いくら速いテンポで曲が弾けていたとしても、リズムが一定でなければ上手に聞こえません。
遅いテンポから練習し、徐々にスピードを上げていきましょう。そうすることで、その曲自体に慣れる事ができますし、一定のテンポで弾けるようになります。
遅いテンポから弾くことで、自分自身がどの部分が上手に弾けないのかを明確にする事ができます。苦手な部分を把握し、効率的に練習ができるようになりましょう。
動画を利用して運指を覚える
近年では、「ピアノ 練習」などと検索すれば、数多くのピアノ練習の動画がヒットします。中にはピアノを演奏している手元が映った「手元動画」なども上がっているため、実際に手の動きを見て練習することが可能です。
初心者向けのピアノ練習動画もたくさんあるので、独学でのピアノスキル習得が可能です。
そして、動画で学ぶことの最大のメリットは「再生速度を変えられる」ことです。
初心者の頃はどうしても、聞くだけではわからなかったり、指の動きが早すぎて追いつかない事があります。
Youtubeなどは再生速度を変えたとしても、音の高さは変わらないので安心して練習する事ができます。動画を利用した練習法はまさに、今の時代ならではと言えます。
検索ワードは下記のようなワードで調べてみてください。
「保育士 ピアノ」
「保育士 ピアノ 初心者」
「保育士 ピアノ 定番曲」
子供たちが楽しめる曲を練習する
自分の好きな曲から練習することも継続する意味では大切ですが、目的を見失ってはいけません。
忘れてはいけないのは「子供たちに楽しんでもらえるピアノを弾けるようになること」です。
いくら自分がやりたい曲だとしても、その曲が子供たちに馴染みのないものでは意味がありません。保育士の実技試験でも使えませんし、実際の保育の現場でも役に立ちません。
先程紹介した、難易度も低く子供たちにも人気な「キラキラ星」や「手をたたきましょう」などから練習を始めてみましょう。
それでもピアノが苦手なあなたへ
ここまでは保育士におけるピアノスキルの重要性や、練習方法などを紹介してきました。
読んでいただいている方の中には、
「保育士にピアノが必要なのはわかったけど、自分にはセンスがない」
「ピアノを独学で上達できる自信がない」
「ピアノができなければ保育士を諦めるべきなのか」
と不安になっている方もいらっしゃると思います。
ですが、安心してください。そんな方にも方法があります。
結論から言うと、ピアノのスキルが必要のない保育園で働く、もしくは転職すればいいのです。
ここではそんなピアノスキルの必要ない保育園を、4つ紹介したいと思います。
それは以下の4つです。
・企業内保育園
・小規模保育園
・院内保育園
・夜間保育園
一つずつ見ていきましょう。
企業内保育園で働こう!
企業内保育園とは、企業の中に併設された保育所のことを指し、企業で働く従業員の方の子供を預かる保育園です。
企業内保育園は、施設形態によって以下の3種類に分類されます。
【認可保育所】
児童福祉法に基づいて国が定めた基準を見たし、自治体に認可された保育施設です。
開設するには最もハードルの高い保育所ですが、国からの助成金が出ます。
基準項目としては、施設の広さ、保育士の数、調理・防災・衛生管理などが項目として定められています。
【認可外保育所】
自治体から認可を受けていない保育施設のことです。
国が定める基準項目を満たしていないので、国からの助成金は出ません。
ですが、自由度が高く開設するのも認可保育所と比較すると簡単です。
【企業主導型保育所】
上記の2つの保育所とは異なり、内閣府主導で行われている許可外保育所を指します。
企業で働く人の育児と仕事の両立支援が目的です。運営時間の調整や、複数の企業での共同運営なども可能です。保育士の設備費や運営費について助成金が出ることになっています。
企業内保育所が広まった背景としては、日本の労働力人口の減少があげられます。
出産後、子育てをする年齢層は、仕事にも慣れ始め売り上げに関わる仕事ができる貴重な戦力でもあります。
しかし、育児に時間を割かなければいけなくなるので、出産をした後は今までと同じように働けなくなってしまいます。そのため、育児と仕事の両立を支援するための取り組みの一環として、企業内保育園が始まりました。
また企業内保育園は、企業が保育施設を運営している場合、保育士の資格を持っていなくても働く事ができます。そのため、ピアノが弾けなくても問題がありません。
一般的な保育園に比べて子供の数も少ないので、ストレスも少なめです。
小規模保育園で働こう!
小規模保育園は、0~3歳未満児を対象とした、定員が6人以上19人以下の保育園です。
一般保育園と業務内容に大きな差はありません。ですが一番の違いは、発表会やお遊戯会などの大きなイベントごとがない事でしょう。普段ピアノを弾く機会も少ないため、ピアノを弾けなくても問題ありません。
1人の保育士が担当する園児も少ないため、園児1人に対して手厚く保育を行う事ができます。ゆったりと保育がしたい、1人の子供に時間をかけたい方は小規模保育園で働くことをオススメします。
院内保育園で働こう!
院内保育園は、病院に勤務する医師や看護師など、医療スタッフの子供を保育する保育園です。形態自体は前述の企業内保育園と大差ありません。
一般の保育園との一番の違いは、開演時間が長くシフト勤務であると言うことです。
医療の現場で働くスタッフは、24時間体制で働いています。そのため、院内保育園の開演時間も長くなり、夜間保育の実施などもあります。
夜勤がない場合でも、一般の保育園と比べて朝が早く、シフトによって勤務時間が大きく異なります。夜勤がある分平日休みが多いというのが院内保育園で働く人のメリットになるでしょう。
院内保育園では小規模保育園と同様、大がかりなイベントは少ないです。園児の定員数も一般の保育園と比べると少ないため、子供一人一人にじっくりと向き合う事ができます。
子供にとっても「第二のおうち」という感覚になるため、非常にアットホームな雰囲気で働く事ができます。一斉保育で子供とじっくり関われない、と悩んだ事がある方には理想的な職場と言えるでしょう。
夜間保育園で働こう!
夜間保育園とは、働く人の都合で、夜間や深夜に家庭での保育ができない場合に、保護者に代わって子供を預かるサービスのとこを指します。
夜間保育は子供の寝かしつけなどが主な業務になるため、ピアノを弾くことはありません。
主な業務の一覧を以下に載せておきます。
・食事や入浴のお手伝い
・おむつ交換やトイレのサポート
・寝かしつけ
・事務作業
・登園やお迎えの対応
などが挙げられます。
基本的にはシフト制で実施している施設が多いのが特徴です。
・11:00~20:30
・14:00~22:00
・18:00~2:00
例えば上記のようなシフト体制があります。
しかも正社員だけでなく、保育士の資格を持っていればパート職員としても働く事ができます。
紹介した4つの保育園のように、ピアノを弾く事ができなくても、保育士として働くことはできます。世間が共働きになってきている影響もあり、ここで紹介した保育園の需要はますます高まっていく事でしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は保育士におけるピアノの必要性と、練習法についてまとめてみました。
記事の中でも話しているように、保育士だからといって必ずしもピアノが弾けなければいけない訳ではありません。
今の時代では、企業内保育園や小規模保育園、院内保育園や夜間保育園などもありますし、保育士の働き方も多様化しています。
ピアノが弾けずとも諦めず、自分なりの保育士の道を探してみてください。
この記事が、その手助けになれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。