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コラム

保育士を苦しめる職場の人間関係とは?原因と対処法をご紹介します。

お役立ちコラム

保育士の職場の人間関係はとても複雑です。

一緒に働く保育士や園長だけでなく、園児や保護者とも良好な人間関係を築いて行かなければなりません。

 

保育士は人間関係を築いていく仕事といっても過言ではありません。

今回の記事では、保育士の一番の悩みの種である「人間関係」をテーマに、人間関係が悪化してしまう原因とその解決策をお伝えしたいと思います。

人間関係は保育士にとって一番の悩み

女性が多い保育士の現場において、人間関係は一番の悩みです。

実際の現場での人間関係におけるストレスの例は、以下が挙げられます。

 

・表面上だけの仲の良さ

・当人がいないところでの陰口

・派閥の形成・陰湿ないじめ

・上司同士仲が悪く、間を取り持つ新人保育士

・園長先生や先輩保育士からのパワハラ

周りの同僚に対する過剰な気遣い

・感情の起伏が激しい同僚

・意見が言えない

・保育方針が合わない

 

例に挙げた全てが保育園の中で起きている訳ではありません。

ですが保育士として働いたことがある方なら、このうちのどれか一つは経験があるのではないでしょうか。

 

平成30年に東京都が行った「東京都保育士実態調査結果」によると、保育士が仕事を辞めた理由、第一位が「職場の人間関係」でした。

 

対人関係は明確な解決策がある訳ではなく、ストレスが溜まってしまいやすい悩みです。園の雰囲気や、職員同士の関係性が悪い保育園で、毎日の業務をこなしていくのはとても大変なことです。

 

もちろん人間関係の悩みは保育士の職場に限ったことではありません。ですが、女性が多い保育士という現場だからこそ発生してしまう問題も多数あります。

園長との人間関係

園の責任者として現場の保育士にさまざまな指導を行う役目である園長先生(施設長)。

 

自身や会社の保育理念を元に、経営を行っている園長先生も多く、時には感情的になってしまったり、職員に対して威圧的な態度をとってしまうこともあるようです。ここでは園長との人間関係にまつわる悩みをみていきましょう。

園長の保育方針と自分の考えが合わない

グループ型の園だと、保育園の異動をしなければいけない場合があります。

 

自分自身が移動する場合、園長先生や施設責任者が入れ替わる場合など状況によってさまざまなケースが存在します。

 

園長先生も1人の人間、人によってはさまざまな保育方針を掲げています。

 

・子供を第一に考え、子供にとってより良い環境を提供したい

・保育園は一つのビジネス、保育園の運営に力を入れたい

・働く保育士がこの園で働けてよかったと思えるような場の提供をしたい

 

保育方針は園長先生によって異なります。

園長先生が変わったことにより、保育園の保育方針自体が大きく変わることがあります。自分が働き始めた時と方針が変わってしまっては、やりづらさや理想の保育とのGAPを感じてしまうこともあるでしょう。

 

しかし、そのストレスを園長先生に相談することができる保育士は非常に少ないです。自分の立場や職場の雰囲気などを考えると、発言を控えたほうがいいと考えてしまいます。

 

「園長先生に対して言いたいことが言えない」ことがストレスになり、人間関係をさらに悪化させてしまいます。

園長からのパワハラ

保育士として働いている人は、誰しも自分の保育観を持っているものです。

 

・子供を一番に行動する

・子供の可能性を引き出してあげたい

・子供とのコミュニケーションを大切にする

・子供が安心して生活できる場を提供する

・子供の悩む時間を大切にする

 

などさまざまであり、保育観に正解はありません。

自分の理想とする保育を実現するためにも、保育士という仕事はチームワークが必須です。

 

しかし、園長先生との保育観が違い、関係性が良好ではない場合、何か一つミスがあるたびに指摘をされてしまう場合があります。

 

あからさまに自分だけきつく怒られる、言葉だけではなく暴力をふるわれる、など必要以上の指導をされ、後で振り返ってみればあれはパワハラだったと気付く、なんて悲しいことになってしまう場合もあるようです。

 

身体的な攻撃(殴る、蹴る、締め上げる 等)、精神的な攻撃(暴言、脅迫)、仲間はずれ(無視や隔離などの孤立させられるような行為)、過大な要求(明らかに終わらない仕事の要求)などは全てパワハラに当たります。

 

こういった園長からのパワハラが人間関係をさらに悪化させ、ストレスを溜め込んでしまう原因になってしまいます。

頼まれた仕事を断りづらい

保育士の仕事は、世間のイメージでは、保育士の主な仕事は「子供の面倒を見ること」です。

 

しかし、実際はそれだけが仕事ではなく、日々膨大な事務作業をこなしています。その中で園のトップである園長先生から仕事を頼まれることも、保育の現場では非常に多いです。

 

職員同士であれば自分の業務状況や、プライベートの状況などを伝えることで仕事を他の誰かにお願いしてもらうことができます。ですが、園長先生に直接頼まれて仕事を断れる職員は非常に少ないです。

 

仕事を引き受けてしまった結果、自分では処理することができない量になってしまい、勤務時間内で片付けることができず、持ち帰り残業。

 

こんなことが続いてしまえば、精神的にも肉体的にもすぐに限界が来てしまうでしょう。園長先生から頼まれた仕事を断ることができない、と悩んでいる保育士は新人にもベテランにも非常に多いのです。

同僚との人間関係

保育士の仕事はチームワークがとても重要です。

一つの仕事を効率良くこなしていくには、横の保育士同士での連携が必須です。

 

ですが、前述の通り保育士によって保育観は異なります。

その結果、細かな業務のやり方が違ったり、順番が異なったりする場合があります。

 

また、職場によっては先輩後輩の上下関係が厳しいところもあります。

新人保育士は一から関係性を築いていかなければならないため、人間関係で悩みを抱えやすいです。

 

ここではそんな同僚間で起きてしまう人間関係のトラブルをご紹介します。

 先輩保育士の指導が厳しい

保育士として就職して1年目は職場の環境や人間関係にも慣れていないため、非常に大変な思いをすることが多いです。

 

保育士の仕事量は多くて複雑ですし、連絡帳の記入や指導報告書などの事務作業などもあります。園児に対しての食事指導や衛生指導、朝の会や帰りの会でのピアノ演奏、行事やイベントで使う制作物の作成で時間外の労働になることも日常茶飯事です。

 

保育士になって1年目は先輩保育士が指導をしてくれますが、日々の忙しさから教え方が厳しくなることも多く、また丁寧なフィードバックもありません。

 

「これでやり方はあっているのか?」と不安になりながらも仕事を進めていくと、「そうじゃ無い、こんなこともできないのか」と罵倒されることもあり、人間関係が悪化していきます。

 

もちろん、教わる側の姿勢もとても大切ですが、新人保育士からしてみれば、できるのであれば優しく丁寧に教えてもらいたいものです。

理不尽な先輩やパート保育士

保育士の中には暗黙のルールが存在します。

 

それは「大変な仕事は新人がやるべき」というもの。本来であればその場でできる人がやれば片付く問題ですが、新人保育士時代に苦労をしている先輩保育士からしてみれば、そういう訳にはいきません。

 

仮に自分の仕事だったとしても排泄の処理などの面倒な仕事は、新人保育士がまだ何も知らないのをいいことに押し付けてくる、なんてことも現場では日常茶飯事です。

 

また、保育士の職場には園長や主任の他にも大きな権力を持った人たちがいます。

 

それがパート保育士という存在です。役職的には正社員の方が上ですが、経験年数などではパートの方が上です。そのため、「若いやつのいうことは聞きたくない」と協力をしてくれなかったり、主任保育士に告げ口をされたりする場合があります。

 厳しい上下関係

保育園というのは、園長、副園長、主任以外役職がありません。

 

それ以外の保育士は基本的に横並びの関係にあります。

 

しかし、役職による上下関係は無いとしても、能力や経験年数によって見えない上下関係が存在しています。明確に立場やポストで決まっている上下関係では無いので、現場には破ってはいけない「暗黙のルール」が存在しています。

 

そのルールを知らぬ間に破ってしまった保育士は、陰で悪口を言われたり、クスクスと陰で笑われたりなど、もはやいじめのような行為にあってしまいます。

 

こういった目に見えない厳しい上下関係が、保育士の人間関係のストレスの源になっています。

人間関係の改善方法

健康な精神状態で働くためには、人間関係を良好なものにする必要があります。

 

毎日罵倒されたり、自分に自信を持てない日々を過ごしていては、保育士の仕事を続けることはできません。

 

ではどのようにして良好な人間関係を築いていけばいいのでしょうか?ここからは良好な人間関係を作っていくための対処法をご紹介していきます。

周りへの気配りを忘れない

日常業務の中で

「やっておいた方がいいだろうけど、頼まれていないしやるのはめんどくさいな、」

 

と思うような出来事に出会うことってたくさんありますよね。

こういった小さな気づきを行動に起こせるかどうかで、保育士同士の人間関係が向上するかが決まります。

 

子供と遊ぶといっても、単に楽しく過ごせば良いというわけではありません。

遊んでいる最中も危ない目に合わないように、目を光らせていなければなりません。

事前に危ない目に遭いそうな所を取り除く、などの気配りが保育士には必須なのです。

 

先輩の保育士である上司は仕事の量が新人保育士と比べると、比較的多い傾向にあります。

 

新人保育士は上司に対しての配慮も忘れてはいけません。指示を受ける前にやっておいて欲しいであろうことを先読みし、行動に移す。そうすることによって上司の負担が減り、現場が円滑に回りやすくなります。

 

まずは自分が周りに対する気配りや配慮を忘れないように心がけましょう。

元気な挨拶を心がける

良好な人間関係を築いていく上で、挨拶は基本中の基本です。

 

・笑顔で元気よく

・敬語で挨拶

・何かしながらの挨拶はしない

 

こういった基本を忠実に守ることで、相手から好印象を抱いてもらうことができます。

 

元気に自分から挨拶をすることで、相手からも挨拶をしてもらえることがあります。挨拶がうまくいけば、その後の日常会話につなげることができるので、コミュニケーションを取ることができ、仲良くなれる可能性も広がります。

 

登園する園児だけでなく、園長や先輩保育士、地域の方々や保護者の方々にも挨拶をするようにしましょう。子供に対して挨拶の重要性を説く保育士だからこそ、元気な挨拶は自分から積極的に行っていきましょう。

細めにコミュニケーションをとる

人間関係においてコミュニケーションは必須です。コミュニケーションを取らなければ、相手の考えていることがわからなくなり、誤解を生んでしまいます。

 

保護者や上司はもちろんですが、近隣の地域住民の方々とのコミュニケーションも必須になってきます。

 

保護者の送迎マナーが悪かったり、子供達の遊び声がうるさいことで、地域住民の方々とトラブルになることが多々あります。

 

そういった際に、日常からしっかりとコミュニケーションを取っておくと、小さな火種で済ませる事ができるのです。

 

さらにここで覚えておきたいのが、人と話すことだけがコミュニケーション能力では無いということです。見落とされがちですが、連絡帳や書面などの文章を作成し、伝えることもコミュニケーション能力の一つです。

 

子供の成長や頑張ったことなどのポジティブな内容だけでなく、喧嘩して相手を傷つけてしまった事や、その上でご家庭で取り組んで欲しい課題など、誤解を生まないように伝えなければいけないこともあります。

 

日常から積極的なコミュニケーションを行い、誤解のない人間関係を築いていきましょう。

職場の人間関係の状況を整理する

日常の中でコミュニケーションが取れるようになってきたら、職場の人間関係の状況を整理してみましょう。

 

状況を整理せずに、主観的な意見だけを聞いていては、物事はいつまで経っても改善に向かって行きません。紙に書き出したり、ホワイトボードに整理してみることで、客観的な立ち位置に立って解決策を考えて行きましょう。

 

まずは以下のように箇条書きにして、職場の状況を書き出してみましょう。

 

・先輩保育士〇〇さんが、新人保育士〇〇さんに威圧的な態度をとっている

・先輩保育士〇〇さんの仕事の委譲が上手くいっていない

・会議中に意見を出すのが一部の職員、あとで意見をいう人が多い

・新人保育士〇〇さんの報告の漏れが目立つ

 

ですがここで重要なのは、ネガティブなことだけでなく、ポジティブな人間関係も書き出すことです。

「〇〇さんが〇〇してくれない」などのネガティブな情報の羅列は、人間関係をなおさら悪化させてしまう可能性があります。

 

以下のようにポジティブな人間関係も箇条書きにしてみましょう。

 

・新人保育士〇〇さんの挨拶がとても気持ちいい

・主任の〇〇さんの指示がとてもわかりやすい

・自分で気づいて〇〇掃除をしてくれていた

 

こういったポジティブな情報共有から始めることで発言しやすくなり、職場の人間関係の現状を整理しやすくなります。

 

少し照れ臭いですが、こういった会議やコミュニケーションを日常で行うことで、良好な人間関係を築いて行くことができます。

ストレスを発散することも大切

保育士の仕事をしている以上、人間関係のストレスが無くなることはありません。

 

ストレスを溜め込まないようにすることも非常に大切なことですが、溜め込んでしまったストレスを発散することもとても大切なことです。

 

ここでは、「おすすめのストレス発散」を4つ紹介します。

 

・誰かに相談する

・十分な睡眠と休息をとる

・趣味で気分転換をする

・運動をする

 

一つずつ見ていきましょう。

誰かに相談する

ストレスを感じた際に最も重要なのは、1人で抱え込まず誰かに相談することです。

 

生労働省が平成28年に実施した「労働安全衛生調査」によると、悩みを誰かに相談することで、9割以上の方が解消、または気持ちが楽になったと回答しています。家族、恋人、友人、相談する相手は誰でも構いません。信頼できる人に今感じている不安や悩みを率直に伝えてみましょう。

 

誰かに聞いてもらうことで気持ちが軽くなったり、解決策が見つかることがあります。他人の客観的な意見をもらい、しっかりと事実を受け止めて「対話」することで心の状態もきっと良い方向に向かうはずです。

 

身近な人に相談しづらい場合は、公的機関の相談窓口やカウンセリングを受けることも視野に入れてみましょう。

十分な睡眠と休息をとる

仕事が忙しいと睡眠時間が確保できなくなり、精神的なバランスが不安定になってしまいます。日常でこのような症状がある方は睡眠が足りていないかもしれません。

 

・なんとなく疲れやすい

・暴飲暴食してしまう

・些細なことでイライラする

・集中力が続かない

・注意が散漫になる

 

これらは睡眠不足から来る初期症状として代表的なものです。

眠気を感じていなくても、身体に必要な睡眠時間や質が足りていない可能性があります。

これらが続くと生活習慣病になってしまったり、最悪の場合はうつ病を発症してしまうこともあります。

 

睡眠は疲労回復、ストレス解消以外にも、肥満防止や肌質の改善、記憶の定着を高める効果があります。

 

良い仕事は良い睡眠から、睡眠時間は確実に確保するようにしましょう。

 

趣味で気分転換をする

休日に何もすることがなければ、日常のネガティブなことばかりを考えて憂鬱になってしまいますよね。そんな中で週が明けてしまっては、仕事に集中できません。

 

「昔は趣味があったけど、最近は何もできていないな」

 

と少しでも感じているのであれば、仕事を休んで趣味に没頭してみましょう。

ここでのポイントは何も考えず趣味に打ち込む、ということです。そうすることで大きなストレス解消になります。

 

趣味に没頭することが難しければ、ヒーリングミュージック(海の音や焚き火の音)を聞いてゆったりとリラックスできる時間を少なからず持つようにするだけでも効果があります。

運動をする

現代人のストレスは運動不足から来ています。

 

仕事や人間関係などで、脳はフル回転で働いているのに比べ、体を動かすことは少なくなってきています。1日の終わりには、脳は疲れているのに身体は疲れていないというアンバランスな状態になってしまいます。

 

運動には身体をあたため、気分を晴らしてくれる効果があります。

それによってよく眠れるようになり睡眠もしっかりと取ることができるようになります。

 

運動は筋肉の動きや呼吸、リズムを意識して行わなければ、運動効果や快感を感じにくいです。「ながら」で運動をするのではなく、確実に時間を確保して散歩やジョギングなどのリズム運動を日常に取り入れてあげると、効果を実感しやすいです。

それでもダメなら転職しよう

「いつもなんで私だけ怒られなきゃいけないの」

「いったい私の何がいけないの」

 

こういった悩みを抱えて、自分を日常の中で責めてしまっている保育士の方もいらっしゃるかもしれません。

 

人間関係を良好にするために、さまざまな努力をしても改善されない場合は「職場の人たちと価値観が合わなかった」もしくは、保育園の保育方針が合わなかった可能性があります。

 

こういった場合は思い切って転職をしてしまうのも一つの手段です。働く保育園を変えるだけで、状況が一変することがあります。

 

人間関係がうまく行かない園に長く居てしまっては、人生の時間を無駄にしてしまいます。時には思い切った決断も必要です。改善の余地が見えない場合はアクションを起こしてみましょう。

まとめ

どんな職場で働いていても必ず悩んでしまうのが「人間関係」です。

忘れないで欲しいのは、相手にだけ問題があるわけではないということです。

 

「自分にも問題はある、自分のどこを改善することができるだろう?」

 

このように自分を主語に考えて行くことで、人間関係は良好なものになって行きます。

他人と価値観の違いがあるのは仕方のないことです。

互いの存在を認め合い、尊重し合いながら働ければ保育士という仕事がもっと楽しくなるはずです。

 

ぜひ、今回の記事を参考に人間関係を改善してみてください。最後までご覧いただきありがとうざいました。