コラム
信頼される保育士の保護者対応は?トラブルが起きやすい原因や対処法を紹介


保護者対応は、保育士の大切な仕事のひとつです。毎日の保護者との関わりや対応の積み重ねが、信頼関係を築きます。
保護者にとって我が子は一番大切でかわいい存在なので、ちょっとしたことにも敏感になります。そのため、トラブルが起こることも少なくありません。トラブルが起こってしまったときは、誠実な対応を心がけましょう。
信頼される保育士の保護者対応やトラブルが起きたときの対処法を紹介します。保護者に信頼してもらえる保育士を目指しましょう。
信頼される保育士の特徴や保護者対応とは?
保護者に信頼される保育士は、保護者とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築いています。
どんなに小さな出来事でも、子どもの様子を送迎時に話したり、連絡帳にわかりやすく記入したりして伝えています。
また、元気なあいさつや丁寧な言葉遣い、身だしなみが整っていて清潔感があるなど、社会人としての基本ができていると好印象です。
「この保育士なら子どもを預けても安心できる」と思ってもらえる対応を心がけましょう。
保護者とトラブルになりやすい6つの原因
保護者とのトラブルは、コミュニケーション不足により信頼関係が築けていないことが主な原因です。保護者とトラブルになる原因を知り、それに合わせた対応策を考えましょう。
怪我していたのに報告がなかった
園生活の中で、子どもが怪我することは珍しくありません。子どもが怪我したら、怪我の状況と対応を保護者に説明しましょう。怪我の報告がなかったり、説明が不十分だと、保護者は不安になります。
保育園ではたいしたことがなかった小さな怪我でも、家に帰ってから容態が急変することもあります。「怪我のことを知っていれば早めに対応できたのに」とトラブルになりかねません。
保育園で起きた子どもの怪我は必ず保護者に伝えましょう。
コミュニケーションの不足
保護者とのコミュニケーションが不足していると、トラブルが大きくなる原因です。保護者は常に子どもの様子が気になっています。そのため、送迎時に保育士と話をしたり、連絡帳を読んだりして、子どもの様子を知ることを楽しみにしています。
送迎時に毎回あいさつだけだったり、連絡帳がありきたりのことしか書いていなかったら「我が子はちゃんと見てもらえているのかしら」と不安になります。普段から、保護者との会話や連絡帳のやりとりなど積極的なコミュニケーションが大切です。
考え方や価値観の違い
保護者と保育士との考え方や価値観の違いによってトラブルになることがあります。
例えば、子どもが一人で着替えをしている場面を想像してみましょう。保育士は、一人で頑張って着替えている子どもの意欲を大切にしようと見守りました。それを見た保護者は「どうして手伝ってくれないの?我が子はほっておかれているの?」と、保育士とは全く違った捉え方をするかもしれません。
保育士と保護者の考え方や価値観の違いで、子どもの行動に対する捉え方が異なります。そのため、日頃から園の方針や保育士の考えを伝えておくとよいでしょう。
保育士の印象や行動
保育士の印象や行動がトラブルの原因になることがあります。
例えば、いつも無愛想で、清潔感のない保育士だったら、良い印象を受けませんよね。また、子どもの名前を呼び捨てにしたり命令口調だったりすると「この保育士に子どもを預けても大丈夫だろうか」と心配になったり、トラブルの原因になったりします。
保育士の印象や行動は、意識すればすぐに改善できます。保護者に信頼してもらえるよう、身だしなみや行動に気をつけましょう。
園内で情報共有がされていない
園内で情報共有がされていないと、トラブルの原因になる可能性があります。例えば「ここの怪我はどうしましたか?」と保護者に聞かれて、怪我のことを知らずに対応ができなかったら「我が子はちゃんと見てもらえていないのかしら」と不安になります。
口頭で伝える、メモを残すなど保育士同士で情報共有の方法を決めておくことが大切です。トラブルにならないためにも、どんなに小さなことも、園内で情報共有できるようにしましょう。
保護者の事情を理解していない
保育園に子どもを預ける理由は、家庭によってさまざまです。そのため、子どもを預けなければならない保護者の事情を保育士が理解する必要があります。
「〇〇ちゃんの家はいつもお迎えが遅い」「土曜日だから登園を控えてほしい」など、他の家庭と比べたり、園の事情を押し付けたりしていませんか?
「毎日仕事が終わったらすぐに迎えにいっているのに、遅いと言われる」「土曜日も仕事だから預けたいのに嫌な顔をされた」など、保護者が不快な思いをしたり、トラブルの原因なったりしてしまうことがあります。
保護者は子どもを預けなければならない理由があるので、そのことを理解しておきましょう。
保護者とトラブルになったときの対応方法
保護者とトラブルになってしまったら、まずはトラブルが起きたことに対して謝罪します。トラブルの原因や事実を明らかにして、正確な情報を伝えるようにしましょう。その上で対応策を考え、今後トラブルが起こらないように改善していくことが大切です。
謝罪と感謝の気持ちを伝える
まずは、保護者にトラブルが起こってしまったことに対して謝罪します。その上で、保護者が気持ちを伝えてくれたことに対してお礼の言葉を添えるとより丁寧です。
【例】
この度は、〇〇くんの怪我の状況を伝え忘れてしまい、大変申し訳ありませんでした。教えていただき、ありがとうございます。
自分がトラブルに関わっていなくても、園で働くチームの一員として謝罪と感謝の気持ちを伝えましょう。
保護者の話を最後まで聞く
保護者の話は、最後まで聞くことが大切です。話の途中で意見や反論はせず、相槌をうったり共感したりしながら真剣に話を聞きましょう。
保護者は自分の気持ちをわかってほしいという思いから保育士に話をします。そのため、話を聞いてもらえたり、気持ちに共感してもらえたりすると安心します。
保護者の話を聞きながら、何に対して不満なのか、どうしてほしいのかを整理し、トラブルの原因を探しましょう。
中立的な立場で接する
子ども同士のトラブルや保護者間でのトラブルを仲裁するときは、中立的な立場で接するようにします。
どちらかの言い分を鵜呑みにして「〇〇ちゃんが悪い」など主観的に解決してはいけません。「我が子はいつも悪者になっている」「〇〇ちゃんばかりひいきしている」と保護者が不信感を抱いてしまいます。
必ず両方の言い分を聞き、事実を確認した上で、中立的な立場からトラブルを解決するようにしましょう。
事実を確認して正確な情報を伝える
子ども同士のケンカや怪我によるトラブルは、事実を確認して正確な情報を伝えます。その場しのぎの回答や謝罪は、トラブルを大きくする原因になるので避けます。保育士が言っていたことと事実が違った場合、保護者からの信用を失いかねません。必ず事実を確認してから、保護者に正確な情報を伝えましょう。
園での対応策を伝える
たくさんの子どもや保護者と関わる中でトラブルはつきもの。一番大切なのは、トラブルが起こったあとの園の対応です。全てのトラブルに対して改善するのは難しいですが、対応できることはすぐに実行します。
その上で、園での対応策を保護者に伝え、今後はトラブルが起こらないように努める旨を伝えましょう。
例えば「送迎時に、駐車場で子どもが遊んでいて危ない。保護者が子どもを見ていない」と意見があったとします。その場合、園だよりやクラスだよりで通知する、送迎ラッシュのときは保育士が駐車場でトラブルが起きないように見守るなどの対応ができるでしょう。
トラブルに対して、すぐに対応していることがわかれば誠意が伝わり、保護者は安心できます。
大きなトラブルのときは園長や主任に同席してもらう
トラブルに関わると責任を感じて、全てを一人で対応してしまいがちです。しかし、トラブルが大きくなればなるほど、一人では対応しきれなくなります。
トラブルの大きさに関係なく、園長や主任に状況を速やかに伝えて、一緒に対応策を考えます。大きなトラブルのときは、園長や主任が同席することで、保護者への誠意が伝わるでしょう。
保育士が保護者対応するときの6つのポイント
「保護者に信頼してもらえるように対応するにはどうしたら良いの?」と悩んでいる保育士向けに、保護者対応するときのポイントを紹介します。ポイントをおさえながら保護者対応することで、良い関係性が築けたり、トラブルが大きくなるのを防げたりするでしょう。
あいさつやコミュニケーションを心がける
送迎時や園ですれ違ったときは、必ずあいさつをしましょう。「おはようございます」「おかえりなさい」と笑顔であいさつされると気持ちが良いですし、話もしやすくなります。
また、保護者に会ったときは子どもの様子を伝えたり、「お仕事お疲れさまです」「体調はいかがですか?」など保護者を労う言葉をかけたりと、保育士から積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。こうしたコミュニケーションの積み重ねが、保護者との信頼関係を築いていきます。
送迎時の丁寧な対応を心がける
送迎時は、たくさんの保護者に対応するため、保育士にとって忙しい時間です。忙しくても、子どもや保護者、ひとりひとりへの丁寧な対応を心がけます。
朝は、保護者が仕事に行かなければならないので、支度や伝達事項を伝えるだけで精一杯です。忙しい保護者の気持ちを理解し「いってらっしゃい」と笑顔で送り出しましょう。
お迎えのときは、保護者と話をするチャンスです。園での子どもの様子を伝えましょう。「今日は〇〇ちゃんが苦手な野菜を食べられました」「今日は〇〇ができました」といった園の様子を知れることは嬉しいですし、我が子を見てくれているという安心感につながります。
保護者の気持ちに寄り添う
保護者と話をするときは、保護者の気持ちに寄り添うことが大切です。「自分の気持ちをわかってくれる」と感じると誰でも嬉しいですよね。
子どもの成長や発達は、保護者と保育士で共有して一緒に喜びましょう。また、「なかなか寝てくれない」「野菜を食べない」などの悩みや相談には、保護者の悩む気持ちに共感し、一緒に対応策を考えます。
「最近どうですか?」など、保育士から積極的に話しかけることで、普段話したくても話せないことを教えてくれるかもしれません。
保護者の話をしっかりと聞き、その上で気持ちに寄り添った返答ができるように心がけましょう。
言葉選びに注意する
園内で話をするときは言葉選びに注意します。いつ誰が聞いても気持ちが良い会話を意識しましょう。
「お友達はこれができていましたよ。〇〇ちゃんもできるようになるといいですね」「もっとこうしてみてください」など、他の子どもとの比較や、上から目線のアドバイスは、良い気持ちがしません。相手を不快にさせない言葉選びをすることが大切です。
子どもの様子をわかりやすく伝える
保護者は、園での子どもの様子がわかると安心します。送迎時や連絡帳などで、エピソードを交えながらわかりやすく子どもの様子を伝えましょう。
「今日は外で遊びました」ではなく「今日は外遊びのときに、自分で靴を持ってきて履くことができました」など、その子ならではのエピソードが望ましいです。
誰にでも当てはまる、ありふれた内容ではなく、その子ならではのエピソードを伝えることで「我が子を見てもらえている」という安心感につながります。
トラブルが起きたときは口頭で伝える
トラブルが起こったときは、保護者に口頭で事情を説明します。連絡帳などの書面だけでは、状況が伝わらず誤解を招く恐れがあるためです。また、口頭で説明することで、保護者への誠意が伝わります。誠実な対応が信頼関係を築くことにつながっていくでしょう。
まとめ
保育士として働いていると、保護者対応に悩みます。保護者対応には知っておくべきポイントがありますが、保護者によって対応が異なるでしょう。
トラブルが起こってしまったら、誠実に対応し、必要なことは改善していきます。保護者が安心して子どもを預けられるように、日々のコミュニケーションを大切にして信頼関係を築きましょう。信頼関係を築くことで、トラブルが大きくなるのを防げます。
保護者対応に正解はありませんが「この保育士なら安心できる」と思ってもらえるような関わりが大切です。