美容師として働くうえで「将来は独立開業したい!」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
独立すれば、自分が思い描く理想の美容室づくりを一から実現することができます。さらに、働く時間をある程度、自分でコントロールすることも可能になります。
とはいえ、「何を準備するの?」「資金ってどれくらい必要?」「失敗しないために気をつけることって?」と気になることはたくさんあると思います。今回は美容室の独立で失敗しないための重要ポイントを3つ厳選して紹介します。
目次
美容師として独立するなら知っておくべきお金のこと

まず1つ目のポイントはお金です。開業資金・運転資金・自身の生活費、お金に関する悩みや問題は複雑です。金銭面で失敗しないためにもしっかりポイントをおさえておきましょう。
開業資金について知ろう
美容師として独立する場合の開業資金は大きく4種類に分けられます。
- 不動産契約に必要な費用
- 店舗の内・外装費用
- 美容器具にかかる費用
- 薬剤・美容商材の仕入にかかる費用
不動産契約に必要な費用
開業にあたって、まずは不動産を契約する必要があります。不動産契約には、下記の費用が発生します。
- 店舗の家賃
- 保証金
- 礼金
- 保証会社、火災保険加入料など
- 仲介料
美容室をどこにオープンさせるのか。選ぶ場所によって集客率は大幅に変化しますが、人の出入りが多い好立地物件は家賃が高騰します。
テナント物件の場合は、家賃10カ月相当額の保証金も必要になるので注意が必要です。
さらに、不動産会社への仲介料として家賃の1カ月分程度を支払う必要があるので、初期費用はしっかりと準備をしておきましょう。
駐車場の有無、近隣にパーキングがあるかどうかも重要な要素ですが、物件の環境を取り巻く環境維持のため、共益費が必要となる場合もあるため注意してください。
店舗の内・外装費用
内装費用は手をかけるほど費用がかさんでいきます。備品を含まない場合でも、1坪あたり30〜40万円程度が相場になります。
ちなみに、外に設置する看板などに関しては、出店地域の条例によっては制限される場合もあるため、あらかじめ制限内容を確認しておくことが必要です。
美容器具にかかる費用
美容器具に関しては、居抜き物件であれば既存の設備を使用できることもあるため費用を減らすことが可能です。
ただし、お客様と直接接する部分になるため機材の印象は非常に重要です。設置する機材の数量にもよりますが、1人で美容室をオープンする場合200万円前後が目安となります。
薬剤・美容商材の仕入れにかかる費用
薬剤や美容商材に関しては日々トレンドが変化をするため、初期の段階では必要最低限だけ仕入れてコストを抑えましょう。
お客様の反応や市場のトレンドをみつつ、仕入れる薬剤や商材を選定してください。また、SNSなどを有効活用し、可能な限り仕入れ費用を削減する方法も有効です。
運転資金について知ろう
開業してもすぐに利益が得られるわけではありませんので、必要な経費の3ヶ月分程度の運転資金は準備しておくことが大切です。
独立開業し、お店を構えるということは自身が経営者になるということです。自身の責任で多くの取引先とやりとりをしたり、従業員を雇うことになります。
しっかりと運転資金を確保した状態で業務を始めなければ多くの方に迷惑をかけることになるため、運転資金についてしっかりと学んで蓄えておくようにしましょう。
事業計画書の必要性
美容室の開業には多額の資金が必要となります。すべての費用を自分で用意することが難しい場合は、金融機関から融資を受けることになりますが、そのためには事業計画書が必要です。
事業計画書とは、融資を受ける銀行や日本政策金融公庫などに対して、融資の使い道、返済の目途がきちんと立っているのかを説明する書類です。
美容室の事業計画書には、「集客計画」「収支予測」「売上計画」の3つから構成される「数値計画」と、どのような美容室にしたいのかを説明する「コンセプト」を入れることが重要です。
独立して美容室を開業するために必要な手続きや免許などのこと

2つ目のポイントは、独立開業するために必要な手続きや免許・資格についてです。
開業手続きについて
開業のための準備が全て整ったら、美容室の管轄となる各役所で開業のための手続きを進めましょう。それぞれ紹介していきます。
税務署
税務署で必ず提出が必要な書類は、「個人事業の開廃業届出書」です。該当する場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」も提出します。開業届は開業後1カ月以内に提出する要注意の書類です。
保健所
保健所で提出する必要がある届出は5種類あります。
- 開設届
- 施設の位置図
- 構造・設備の概要
- 従業者名簿と美容師免許証
- 医師の診断書
開業の10日前までには全て届け出る必要があるので注意してください。
都道府県税事務所
「事業開始等申告書」を開業後すみやかに提出してください。 書類は各自治体に提出する必要がありますが、自治体によってい提出期限が異なりますので事前の確認を忘れずに。
労基署、ハローワーク
従業員を雇う場合には届け出が必要です。
その他、法人化する場合には「法人登記手続き」が必要です。また、建物の状況や立地によりますが消防署へ「防火管理者」の届け出が必要な場合もあります。
美容室の経営には管理美容師の資格が必要
開業直後など1人で美容室を経営する場合には美容師免許があれば営業可能です。ただし、共同で美容室を経営する場合や、人を雇う場合には管理美容師の資格者が最低でも1人は必要です。
管理美容師の免許の取得には、美容師免許を取得し3年以上経過かつ美容師として勤務経験が必要となります。これに加え、都道府県知事が指定する講習会課程を修了しておかなければなりません。
美容室の営業許可を受けるための条件とは
美容室の開店にあたっては、建物や設備について保健所からの営業許可が必要です。許可を得る条件は以下を参考にしてください。
- 作業室の床面積は最低13㎡
- 施術する美容椅子1台あたり3㎡の広さ
- 作業室の明るさは100ルクス以上必要
- お客様用の待合室が確保されていること
- 血液が付着した場合の消毒設備
- 毛髪箱やゴミ箱は蓋つき
参考:大阪府の美容室開設要綱
条件は管轄の保健所により、違いがあります。保健所には事前相談が可能なので積極的に活用することをおすすめします。
新しい独立の選択肢!シェアサロンとは

3つめのポイントはフリーランスの美容師として独立する方法についてです。
シェアサロンとは
シェアサロンとは、店舗を持たないフリーランスの美容師に設備等を貸し出す施設のことです。
シェアサロンの魅力とは
フリーランスの美容師として働くことのメリット・デメリットについてお伝えします。
メリット
- 低リスクで独立が可能
シェアサロンは利用料のみで使用できるため、開業資金や家賃・水道光熱費といった諸経費を支払う必要もないので、多額の費用を必要とせず個人で低リスクで働くことができます。
- 時間や場所にとらわれない
シェアサロン全体での営業時間は定められていないので、美容師のスケジュールで動くことができます。また、シェアサロンは主要都市の駅前や繁華街にあることが多いため利便性に優れています。
デメリット
- 集客を自分でおこなう必要がある
格安の集客アプリを利用したり、SNSを利用したりして自分自身で集客を行う必要があります。
- 経理や仕入れなどの事務業務が増える
バックオフィス業務や仕入などの業務全てを1人で行う必要があります。そのため、時間の管理が難しくなります。
3つのポイントに注意して美容室を独立しよう!
美容室の独立で失敗しないために大事なポイントを3つご紹介しました。
- お金のこと
- 届け出や許可関係のこと
- 新しい働き方・独立方法のこと
美容師として独立をするとなると、これまでは選べる道が開業しかありませんでした。しかし、今はシェアサロンという新しい選択肢が増え、リスクを少なくした形での独立も可能となっています。とはいえ、シェアサロンは開業とは異なった形のメリット・デメリットが存在することは知っておかなければなりません。
開業もシェアサロンも一長一短でそれぞれのメリット・デメリットがあります。それらをしっかりと把握し自身にとっての最適な形を見つけましょう。