美容師として働いていると、仕事にやりがいが出てきて「いずれ美容師として独立したい」「自分のお店を持ちたい」というような願望も出てきます。
店舗で正社員として働いている時、開業するためには「開業届だけを提出すれば良いの?」「開業資金は約1,000万円くらい?」という疑問もあるかとと思います。
そこで本記事では、美容室を開業したいと決意した日からできる事前準備と、開業出店までの一連の流れや出店場所の重要性について紹介します。
目次
美容室独立出店までの手順

サロンで経験を積んでいく中で、いつかは自分が経営する美容室を出店したいという想いも膨らむことでしょう。でも美容室を開業するためには、まず何から取り掛かればスムーズに、オープン日を迎えることができるか知りたい方も多いはずです。
まずは、美容室の独立から出店までの手順を紹介しますので、参考にしてみてください。
1.コンセプトを考える
美容室を開業したいと決めた日から、まずはどのような美容室をイメージしているのか考えることがポイントです。では、コンセプトや方向性を定める際、どのような内容を決めたら良いのでしょうか?
基本的に、「企業理念・経営方針・ターゲットとなる客層・提供サービス・他店との違い・集客方法」などが該当します。コンセプトをしっかり具体化することで、事業所計画書やテナント選びなどもスムーズに進んでいきます。
2.開業資金計画と事業計画書の作成
最初に考えたコンセプトがきちんと決まっていれば、開業資金計画と事業計画書の作成も、それほど迷うことはないでしょう。開業資金を融資によって調達する場合、事業計画書を正しく作成しておかないと、融資を受けることができない場合もあります。
銀行や金融機関は、融資した開業資金を将来的に返済できるのかを、確認するために、事業計画書を念入りにチェックするのです。
3.物件探しと立地条件
あらかじめ決めた美容室のコンセプトをもとに、物件探しを進めていきましょう。物件探しは、慎重に選んで決めないと、開業したもののお客様が全然集まらず、経営が長く続かない恐れがあります。
そのような失敗をしないためにも、物件探しと立地条件は焦らず、慎重に進めていくことが大切です。
4.資金調達
開業するためには、開業資金が必要になってきます。事前に作成した事業所計画書を銀行や金融機関へ提出して、融資を受けましょう。
融資の中でも、日本政策金融公庫の融資制度が多く利用されています。日本政策金融公庫は、財務省が管轄する中小企業や企業をサポートするために融資を行っている金融機関です。日本政策金融公庫は、「無担保」「無保証」「低金利」のため、中長期の事業計画や資金計画を立てやすいことが特徴です。
各自治体では融資だけでなく、助成金や補助金もあるので必ずチェックしてみてください。
5.内装工事
無事に融資を受けることができたら、内装工事をするために施工会社を選定していきます。施工会社は、過去に美容室の内装工事の経験や実績がある業者に頼むと安心です。過去の実績はないけど、内装工事費用が安いという理由で依頼をしてしまうと、トラブルになったり、オープン初日に間に合わなかったりする場合もあるかもしれません。
そのようなトラブルを避けるためにも、内装工事の業者選びは大切です。
6.従業員の面接から採用まで
自分一人で美容室を経営する場合は、従業員の採用は必要ありません。しかし、複数のスタイリストを雇う場合、ハローワークやチラシ、SNSなどを活用して求人募集を行う必要があります。ハローワークは、事業所登録をすれば無料で掲載ができます。折り込みチラシやフリーペーパーなどは、費用がかかるため、まずはハローワークやSNSなどを利用し、人が集まらない場合のみ検討するといいでしょう。
オープニングスタッフとして、一緒に働いていく仲間になるため、慎重に進めていくことがポイントです。
7.開業手続きをしよう
美容室を開業するには、保健所・消防署・税務署へ開業する旨を伝える必要があるため、開業届を提出しなければなりません。保健所の立ち入り検査は、店舗の引き渡しが終了したと同時に申請をすると良いでしょう。
また、美容室を開業する際には、消防設備(消火器・火災報知器・非常警報設備など)の基準を満たしているかどうかが審査されます。管轄の消防署へ問い合わせるか、消防署のホームページから、書類をダウンロードできます。
8.集客方法を考える
お客様が足を運んでくれない事には、毎月の費用(固定費や変動費)を支払うことができません。経営が右肩上がりになるためには、集客方法をスタッフとも話し合うことが大切です。
ホームページ開設を検討する方もいますが、まずはInstagramやX(旧Twitter)などのSNSを活用して美容室のアカウントを作成しましょう。SNSをうまく活用できれば、お金をかけずに集客できる場合もあります。
9.オープン初日
オープン前日には営業中に使用する備品や忘れている手続きはないのか、必ず最終チェックをしましょう。もちろんオープンしてから見えてくる課題もあるかと思います。
「ここをもっとこうしたい」といった改善点をスタッフと話し合うことで、より良い美容室になるはずです。
開業届以外にも大切な届出とは?

税務署に開業届を提出したら、手続きが終了という訳ではありません。前述しましたが、保健所と消防署へも美容室として開業する旨を伝えましょう。
保健所立ち入り検査とは?
美容室を開業するときに、店内の構造や設備を保健所の担当者が確認します。保健所というと飲食店などの衛生面を調査するイメージですよね。しかし、美容室も同じで、床の素材やセット椅子の台数に応じた接客スペースの面積など、細かな検査に合格しないと開業ができません。
地域によっては、構造設備基準も異なる場合があるため、開業すると決めたらまずは管轄の保健所へ相談してみましょう。実際に、美容室のコンセプトや図面があると、保健所の方にも話が伝わりやすいですよ。
消防署への届け出とは?
美容室を開業するためには、冒頭でもお話ししたように美容室に消防設備を設置することが義務付けられています。 消防用設備等が未設置の場合は、告発される場合もありますので、必ず設置してください。
美容室の開業管轄の消防署への相談・指導、消防検査を受けないと開業はできません。詳しいことは、管轄の消防署へ問い合わせてみましょう。
美容室開業する場合の地方と都内の比較

美容室を開業すると決めたとき、どの地域に開業するか悩む方も多いでしょう。そのような方のために地方と都内で開業するメリット・デメリットについてご紹介します。
店舗探しで、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
地方で開業するメリット・デメリット
メリット
- 家賃が都内と比較すると安いため、同じくらいの売り上げでも利益を得ることができる。
- 都内と比較すると、時間の余裕があり、アットホームな雰囲気をつくりやすい。
- ターミナル駅に比べると地方の美容室は店舗数が少ないため、固定客が付いたら離れにくいことが特徴。
デメリット
- 地方では、人口減少が進んでいるため、集客しづらい場所を選ぶと経営が難しくなる。
- 固定客やリピーターができるまでは、ある程度時間がかかる。
- 最新のトレンドの情報が都内と比較すると遅い場合もある。
都内で開業するメリット・デメリット
メリット
- アクセスが良いため、立地が良ければ高い集客が見込める。
- 人口が多い分、さまざまなターゲットに特化した美容室を経営できる。
- 都内は日本の中心となるため、常に最新のトレンドが耳に入ってくる。
デメリット
- 地方と比較すると家賃が高い。
- 競合が多く、他店との差別化を図らないとファンが付きづらい。
- 毎月の固定費が高くなる傾向にある。
どちらが正解というわけではないですが、都内での他店との競合を避けたい場合は地方がおすすめです。地方では地域での繋がりを大事にする傾向が多く見られます。そのため、一度固定客がつけば、なかなか離れないのが特徴です。
自分のライフスタイルに合った開業場所を選択すると良いでしょう。
美容室を開業すると決めた時点で先を見据えましょう
美容室を開業するという願望を持った方に向けて、美容室オープン初日を迎えるまでの流れについて紹介しました。そして美容室を開業するにあたっては、税務署へ開業届を提出して終わりではなく、保健所や消防署への届け出も必要になります。
美容室の開業出店までの事前準備と一連の流れを知ることで、コンセプトの重要性や資金調達には、日本政策金融公庫が低金利だと知ることができたと思います。
まずは、美容室を開業すると決めた段階で、自分ができることから取り組むことがポイントです。