美容室の内装はお店の集客力やお客様がリラックスできる雰囲気を作るのに、大きな影響を与えます。そのため、美容室を開業する重要なポイントとして、内装工事にはこだわりたいところです。
一般的に内装工事費は開業費の50%前後を占めると言われています。そこで今回は、「内装工事費としていくらかかるのか?」「内装工事費を抑えるコツと内装工事を行うまでの開業手順」について解説します。
美容室を開きたい、改修したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
内装工事費に含まれる費用とは?

本記事では、内装工事の坪単価や物件の種類について解説していきます。美容室の内装工事をするならば、まずは知っておきたい情報ばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
内装工事の坪単価
美容室の内装工事費はおおよそですが「坪単価 × 広さ」で予測可能です。
工事費の坪単価の相場は、平均20~40万円程です。しかし、こだわりを持って内装を作りたいと考えているならば、坪単価を40~60万円程と考えておくと、大きなトラブルもなく対応できるでしょう。
内装にかかる坪単価と、物件の広さが分かれば、内装工事にかかる大体の費用が予測できます。ただし、坪単価は材料や作業の種類で大きく変化することも理解しておきましょう。
内装工事費は、大きく「デザイン設計費」と「施工費」に分けられます。内装会社の中にはデザインと施工を一括で請け負う業者もありますが、基本的には別々の業者に交渉することとなるでしょう。
物件の種類
内装工事費は物件のタイプによっても異なります。物件のタイプは次の2つです。
- スケルトン物件
- 居抜き物件
それぞれの特徴について紹介していきましょう。
スケルトン物件
スケルトン物件とは、内装が取り払われていて美容室としての設備が何もない状態の物件のことです。設備が一切ないので、自分で最初から手配して作り上げていかなければなりません。
開業するまでの時間と費用がかかりますが、自分の思い通りにお店をカスタマイズできるメリットがあります。スケルトン物件での内装工事の相場は、坪単価12〜56万円程です。内装にこだわるならば、それ以上の予算を用意する必要もあります。
スケルトン物件での開業を目指すなら、ある程度の予算を確保しておかなければなりません。
また、スケルトン物件でも、ガスや水道、電気などのインフラ設備がどの程度残っているかによって工事内容が変わります。物件を下見する際には、しっかりとチェックしておきましょう。
居抜き物件
居抜き物件とは、廃業した美容室の内装や設備を受け継ぐことができる物件のことです。廃業してしまったからと言って、必ずしも立地などに問題があるとは限りません。自分の目で周辺地域の環境などをしっかり見極めましょう。
居抜き物件は、ある程度の設備が整っている状態から開業準備を進められるのがポイントです。居抜き物件なら内装工事の費用を高くとも坪単価20万円程までに抑えられます。スケルトン物件に比べて工事箇所が少ないので、短期間で工事が終えられるのが魅力です。
ここで気をつけたいのは、既存の設備や機材に故障などがあった場合、修理費や撤去費が発生してしまうことです。また、工事費が安く済むからといって妥協して物件を決めてしまうと、美容室を経営するうちに既存の設備に不満を感じ、開業後に改装する結果になる可能性もあります。
居抜き物件を契約をする前に、設備や機材がきちんと使える状態であるか、本当に自分が納得できる美容室に仕上がるのか確認することを忘れてはいけません。
工事内容で費用は変化する
内装工事の費用は、ライフラインの設備や建物の状態にも大きく影響されます。まず大事なことは、「整備容量が美容室を作るための必要容量を満たしているか」です。
ここでいう設備容量とは「電気」「ガス」「水道」のことです。これらの容量が足りない場合には、増設工事が必要となります。
そもそも、内装工事費用の3分の1は設備費用や土台の補修に充てられます。必要以上に費用がかからないよう、初期の物件選びの段階で、建物自体の不備や外観に問題がないかなどを、念入りにチェックしておきましょう。
美容室の内装費用を安く抑えるには

内装費を安く抑えたい場合に重要なことは、内装工事をする前にしっかりと下準備をして、余裕のあるスケジュールを立てることです。
ここでは内装工事を行う前の流れとともに、どこに注意をすれば良いかを解説していきます。
しっかりと現地調査をする
物件の内見時には、見た目ばかりでなく設備容量や建物自体に不備や欠陥がないかどうかをしっかり確認することが重要です。ライフラインの容量が足りない場合は、追加で費用がかかってしまいます。
また、配管場所によっては取り回しが良い間取りも変わってきます。配管材料を減らしたり、床を上げたりしなければならない場合もあるので、配管状況をしっかり把握しましょう。
複数の内装業者から選ぶ
内装業者を選ぶ際は、複数の業者から相見積りを取るのも一つの手段です。相見積りを取るときのポイントは、見積りの条件・内容をピッタリ同じにすることです。
見積り金額が安くても、後で追加工事費を請求されてしまうケースもあります。契約する前に、見積りの内容に必要な事項がすべて網羅されているかを確認しましょう。
基本的には、デザインと施工の業者は別々に頼むことが多いですが、なかには美容室の内装工事を一括で依頼できる業者も存在します。
設計・デザイン・施工と一括で請け負ってくれる業者は、デザイン料が込みの場合もあり工事費が割安になる傾向があります。
適した素材を選ぶ
壁や床などの素材選びによって、ある程度の費用をコントロールすることが可能です。お客様に見せたい部分は高級感のある材料を使い、あまり目立たない部分はコストや使い勝手を重視するなど、その箇所に適した材料を選びましょう。
初期費用としては安い素材だが、定期的なメンテナンスが必要な素材があります。反対に初期費用はかかるが、メンテナンスの必要がない素材もあります。中長期を見据えて、初期費用とランニングコストと比較しながら素材を決めていくと良いですね。
パンフレットなどを見ると、あまりに種類が多くて悩んでしまうので、内装会社にアドバイスをもらうのがおすすめです。
工事期間に余裕を持つ
内装工事を行う際は、業者と綿密な打ち合わせが必要です。複数回打ち合わせを行うことにより、自分の持つ完成イメージを業者と共有することができ、クオリティの高い内装工事へと繋がるでしょう。
意思疎通が図れずに、過密なスケジュールで無理に工事を進めると、品質の低下に繋がってしまいます。また、工事期間を短縮して工事を進めると、かえって人件費などで費用が上がる可能性もあります。
工事期間に余裕を持たせることは、品質を上げると共に内装工事の費用削減にも繋がる大切なポイントです。
美容室の内装工事をするまでの流れ

美容室を開業しようと思ってから内装工事をするまでに、必ず押さえておきたいポイントを順に解説していきましょう。
コンセプトの明確化
コンセプトが明確だと内装業者に店のイメージを明確に伝えられるため、打ち合わせがスムーズに進みます。しかし、お店のコンセプトを決めておくのは、内装工事のためだけではありません。
コンセプトの明確化は、物件選びや事業計画を立てるためにも非常に重要です。美容室を開業しようと思ったら、まずターゲットの客層やお店のコンセプトを考えましょう。
美容室を開きたいという方は、漠然と「こんな店にしたい」というイメージがあると思います。そのイメージをコンセプトとしてより現実的に具体化しましょう。
「親子で行きやすい美容室」「忙しい方のための早くて安い美容室」「高齢の方が入りやすい美容室」などビジョンが定まると、作るべき美容室の詳細が鮮明に見えてきます。
予算を決める
予算を決めるには、まず店舗の規模を決めなければなりません。それによって、必要な広さや機材、スタッフの数、必要なインフラ設備の容量なども変わります。
店舗の規模が決まり、物件を選ぶことができれば、坪単価と物件の広さでだいたいの内装工事金額を予想できるでしょう。
そこまで決定すれば、「何台の作業台を設置するのか」「一日に何人の接客が可能なのか」「何人のスタッフで美容室を回すのか」など具体的な項目も明確になり、事業計画が立てやすくなります。
内装業者の選定
予算が決まったら物件を選び、その次に内装業者を決めましょう。その際には、美容室の施工実績が十分にある業者を選ぶと良いですね。美容室工事の実績が無い業者を選ぶと、美容室業界では当たり前と思っている用語や常識が通じない可能性があります。
内装業者を選ぶポイントは、自分が希望する事柄に対してどれだけ親身になって向き合ってくれるかです。
具体的には、工事のことがよく分からない場合でも、丁寧に説明をしてくれたり、材料が予算と合わない場合には、代わりとなる好材料を探してくれたり、親切なアドバイスをしてくれたり、といった風でしょうか。
「以前請け負った美容室では、こんな風にしていました。」などという情報がもらえることもあります。
予算やコンセプトを伝え、見積り書を出してもらう短い過程でも、業者の対応を観察することは可能です。業者自体や担当者との相性もあるでしょう。小さな疑問を放置せず、信頼できる業者だと確信した場合のみ、契約に踏み切りましょう。
美容室のお店選びなど開業の詳細についての詳しい流れについては美容室の開業出店までの事前準備と一連の流れをご紹介!出店場所の重要性とは?の記事をぜひ読んでみてください。
美容室の内装工事は余裕を持って進めましょう!
美容室の内装工事は非常に重要です。内装工事でお店の雰囲気やブランドイメージが作られるため、一番こだわりたい部分ともいえます。
しかし、内装工事費は開業費の中でも占める割合が高く、費用としても非常に高額です。慎重に計画し、完成へと進めていく必要があります。
そのため、余裕を持って内装工事に臨むことが、成功する第一歩だと言えるでしょう。