コラム
【全て解決】保育士を退職しようか悩んでいるあなたへ。


この記事に辿り着いた方の中には
「仕事がきつい、保育士を退職するかどうかで迷っている、」
そんな方が多いと思います。
大好きな子供と関わる仕事についたのに、現実では事務作業も多く労働時間も長い多忙な日々を過ごし、理想と現実のGAPにメンタルをすり減らしている方も多いと思います。
保育士を退職するかどうか迷っている方の中には、
「退職金はどれくらいでるの?」
「退職後のキャリアが不安、」
「上司に上手く退職したいと伝えられるかわからない」
と悩んでいる方が非常に多いです。
今回の記事では、それらの退職に関する悩みを全て解決したいと思います。
「退職金」「退職後のキャリア」「退職の伝え方」の3つにフォーカスをあて解説していきます。
保育士を退職するか悩んでいる、という方はぜひ参考にして見てください。
保育士を退職したくなる理由TOP3
子供がなりたい職業ランキングにも、例年上位に入るほど人気の保育士という仕事。
専門学校や大学に通い努力し、やっとの思いで就く事ができた保育士という仕事を、なぜ多くの方は退職したくなってしまうのでしょうか?
平成30年に報告された「東京都保育士実態調査」によると、現在保育士として働いている人のうち、保育士を退職したいと考える人の割合は20%を超えるという結果が出ています。
退職を希望する理由の第一位は「給料が安い」、第二位は「仕事量が多い」、第三位は「労働時間が長い」でした。
第一位 「給料が安い」
令和元年、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月収は全国平均で24万4500円となっています。そこに年2回のボーナスを含めると、保育士の平均年収は363万4600円でした。
あくまでも平均であり、勤務年数や役職によって金額は異なります。
年収としては50代が高くなり、411.9万円です。
しかし保育士は、給与の上昇が非常に緩やかな傾向にあります。そのため労働量や責任感に対して割りに合わないと感じ、辞めたいと感じる保育士が多いようです。
保育士不足を解消するため、政府は「保育士等キャリアアップ研修」などを導入し給与改善を図っていますが、私立保育園や企業保育園などはそれぞれ運営方針が違います。
国が改善を図ったとしても、運営方針の違いによって現場の保育士にまで給与への影響が及ぼせていないのが現状です。
第二位 「仕事量が多い」
世間のイメージでは、保育士の主な仕事は「子供の面倒を見ること」です。
しかし、実際はそれだけが仕事ではなく、日々膨大な事務作業をこなしています。
日案、週案、月案、連絡帳の記入、個人指導案・記録、年間計画、クラスや保育園だより、イベント行事の準備など多岐にわたります。
これらは保育仕事の傍ら、子供たちが外遊びをしていたり、お昼寝している合間に行うことになります。もちろん勤務時間内に終わることは少なく、サービス残業や持ち帰って作業をし、どうにか完成させるのです。
こういった業務量の多さが、多くの保育士を悩ませ退職を考えさせるきっかけとなっています。
第三位 「労働時間が長い」
保育士はシフト制で勤務を回しています。全国保育協議会の調査によると、開始時間は平均「7時台」、終了時間は平均「19時台」の施設が最も多いようです。
平均にすると約11.7時間もの間、保育園は空いており、多くの保育士は働いています。
また労働基準法において休憩時間は「8時間以上勤務する場合は1時間以上の休憩を取らなければならない」と定められていますが、実際は日常業務に追われ1時間も休憩を取れていない保育士が多いです。
朝も早く帰るのも遅い、労働時間が長い、休憩も取りづらいとなれば、誰でも不満を抱えてしまうものです。
退職金はどれくらい出るの?
ここからは保育士を退職する際に抱える3つの悩みについて見ていきましょう。
まずは「退職金」についてです。
退職する際は、約2ヶ月前から上司に退職の意思を伝える、仕事の引き継ぎを行うなど、やる事がたくさんあります。しかし、多くの人が気にかけるのは「退職金はどれくらいもらえるのか?」でしょう。
退職金はどのタイミングで支給されるのか?退職金は正規勤務、パートなど、どこまでが対象なのか?退職金はどれくらいもらえるのか?
わからない事が多いと思います。
ここではそんな退職金事情を見ていきましょう。
退職金は誰がもらえる?
退職金は退職する際にもらう事ができる、いわば「一時金」です。
保育園側が退職する際に備えて、本人の代わりに積み立てていてくれたものと捉えるといいでしょう。
実はこの退職金、保育士全員がもらえるわけではないのです。
この事実を知らずに、退職金をもらえると仮定して次のキャリアを考えてしまっては、現実とGAPが生じてしまいます。
では、退職金の対象者となるのはどういった保育士なのでしょうか?
退職金の支給対象となるのは、保育園に正規雇用で勤務している保育士のみです。
一部の保育園では、退職時にわずかな一時金を支給する場合があるようですが、一般的にパートや正規雇用は、退職金の支給対象外とされています。
必ず退職金がもらえるという訳ではないので、しっかりと就業規則などを事前に確認するようにしましょう。
また、正規雇用であっても働く保育園によって条件は異なります。
公立の保育士の場合、地方公務員として扱われます。そのため、地方自治法に則り勤続年数1年以上の方が退職金の支給対象となります。
私立保育士の場合、公立とは異なり全ての園で退職金が支給される訳ではありません。
退職金制度は労働基準法で定められたものではないので、退職金が支給されるかどうかは、保育園の運営方針によって異なります。
退職金が支給される保育園の場合、一般的には勤続3年以上の方が支給対象となります。
退職金はどのタイミングでもらえる?
公立・私立いずれの場合も退職日からすぐに退職金が振り込まれる訳ではありません。
働く園によっては、多少の異なりがあるので確認しておきましょう。
公立保育園の場合、退職日から1ヶ月以内に指定の口座に振り込まれることになっています。地方公務員と同じ待遇になるので、時期がずれることはありません。
そのため、安心して退職金の支給を待つ事ができます。
私立保育園の場合は、およそ1~3ヶ月以内に指定の口座に振り込まれます。
退職金共済に加入している保育園の場合は、支給を受けるために申請手続きが必要なので時間がかかることがあるようです。
前述の通り、退職金制度は労働基準法によって定められたものではないので、保育園の運営方針によって全て決められます。振り込まれるタイミングや、申請手続きが必要かどうかは、事前に働く園に確認を取るようにしましょう。
退職金はどれくらいもらえる?
では、退職金はどれくらいもらう事ができるのでしょうか?
公立保育園の場合
公立の保育園では以下の計算式で退職金の額が決まります。
退職手当額 = 基本額+調整額
基本額 = 退職日給料月額×退職理由・勤続年数別支給率
調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額
退職理由別・勤続年数別支給率は以下の通りです。
参考:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/komuin_taishoku/pdf/071221_1_si7.pdf
ここでは退職日給料月額を、平均手取りの24万5000円、自己都合で退職した場合の退職金を勤続年数5年、10年それぞれを計算して見たいと思います。
※調整額は計算が複雑なので省略いたします。
・勤続年数5年の場合
245,000×3.0=735,000円
・勤続年数10年の場合
245,000×6.0=1,470,000円
になります。ここでは計算を省いていますが、ここに調整額が加わるため、実際にはもう少し高い金額となります。
勤続年数が増えるほど支給率も比例して上がっていきます。
公立保育士の場合、地方公務員のため退職金が確実にもらえますし、金額も比例して上がるため、安心して働く事ができます。
私立保育園の場合
私立保育園の退職金は退職金手当金計算シミュレーションで計算する事ができます。
こちらのシミュレーションでも5年、10年とそれぞれ計算して見たいと思います。
・勤続年数5年の場合
613,350円
・勤続年数10年の場合
1,226,700円
公立保育園の退職金と比較すると、勤続年数5年の場合は約10万円ほどの差が生まれ、勤続年数10年の場合は約24万円ほどの差が生じます。
ですが公立保育士の場合、勤続年数が長くなればなるほど退職金は大きくなります。
また勤続年数35年の場合は以下の通りとなります。
・公立保育士
245,000×47.5=11,637,500円
・私立保育士
9,711,375円
になります。公立・私立で約192万円ほどの差が生まれることになります。公立の保育士と私立の保育士を比較すると、公立の方が額が多い事がわかりますね。
企業主導型保育園の場合
運営元の企業の福利厚生次第で決まるところが多いようです。
その企業で働いている一般社員と同じ退職金をもらえる場合などもあります。
こちらも退職する前に、事前の確認が必要です。
以上のように、働いている保育園によっては
支給対象となる条件、支給されるタイミングや金額は異なります。
次は、保育士の退職後のキャリアを見ていきたいと思います。
気になる退職後のキャリア
専門学校や大学から保育士になる方は非常に多いです。
そういった方が、いざ保育士を退職するとなると、気になってくるのが退職後のキャリアです。
ここでは保育士を退職する際に抱える2つ目の悩み、保育士退職後のキャリア事情を見ていきましょう。
保育士退職後、主なキャリアの方向性としては以下のような選択肢があります。
・他業種への転職する
・同業種への転職する
・独立する
しかし、セカンドキャリアで独立するのは、非常にリスクが大きいことと言えます。ですので、ここからは他業種へ転職する場合と、同業種へ転職する場合の2つに分けて見て見ましょう。
他業種への転職
保育士から他業種へ転職する場合、以下のような転職先が人気です。
事務職
保育士に限らず、業務内容が比較的簡単なことから、転職をするほとんどの方が希望する職種と言えます。それ故に、競争率も高くなってくるのがこの業界です。
事務職の中でも保育士であれば、コミュニケーションスキルが活かせるコールセンターや、カスタマーサポートなどが良いでしょう。
保育士はデスクワークに強いイメージを持たれていない事が多いので、ワードやエクセルなどのPCスキルを証明する資格を取ると、転職を有利に進められます。
ですが、最近ではどの会社も派遣社員として採用する事が多く、中途採用で正社員になるのは非常に困難であると言えます。
サービス業界
サービス業界はアパレル店員や、アミューズメント(娯楽や遊び施設を指す)など、非常に幅広い業界です。
特に子供と接することの多いレジャー業界では、保育士の需要は高い傾向にあります。
子供向けサービスを取り扱う玩具屋さんやアパレルショップ、子供向けフォトスタジオなども採用されやすいです。
注意点は保育士の頃と比較すると、土日休みが少なくなるということです。
サービス業は世間がお休みの土日が繁忙期になる事が多いので、その分土日での休みも少なくなります。
子供がいない、独身の方には非常におすすめの業界です。
しかし、事実としては保育士から他業種への転職は簡単ではありません。
その理由は、保育の専門学校や大学などで学ぶ内容が保育分野に専門的であるため、学んだことを活かせる場所が限られているためです。
そのため、保育施設以外の仕事で、「保育の知識や経験を十分に発揮することは難しいだろう」とみなされてしまいます。保育士以外の職種では勉強した内容を認めてもらえず、高卒として扱われるのです。
保育現場で学んだ主観的な経験は、転職の採用面接の際には評価されづらいです。
他業種への転職を考えているのであれば、自分を客観的に評価してくれる資格などを取りましょう。
同業種への転職
保育士が他業種への転職をするのは、学んできた内容の専門性が高いため非常に難しい、という話をしてきました。
しかし、同業種への転職で保育士は重宝される傾向にあります。
ここでは保育士が同業種に転職する際に、人気の高い業種を紹介します。
保育ママ(家庭福祉員)
保育ママ制度を利用した保育ママは、主に自宅を保育所として小さな子供を預かります。
保育ママ制度とは、自治体の認可のもと許可された小規模の保育形態のことです。
保育ママ1人に対し3人まで子供を預かる事ができます。
自治体の援助もあり、収入の面で非常に魅力がありますが、自治体の面接、研修、実習、試験を受けて合格する必要があるため、難易度は高いです。
介護職
介護職は人への対応など、保育の仕事で勉強してきたことがいかせる職場です。
実際に、保育関連の資格を持っている方を求めている求人も多くあります。そのため、介護業界に保育士は転職しやすいと言えます。
今まで子供にしてきたことを、老人に対して行う、社会からの需要もあるやりがいのある仕事です。
院内保育園
院内保育園は、病院に勤務する医師や看護師など、医療スタッフの子供を保育する保育園です。形態自体は前述の企業内保育園と大差ありません。
一般の保育園との一番の違いは、開演時間が長くシフト勤務であると言うことです。
医療の現場で働くスタッフは、24時間体制で働いています。そのため、院内保育園の開演時間も長くなり、夜間保育の実施などもあります。
学童保育・児童館
学童保育とは、放課後や大型の休日(夏休みや冬休み)などに、保護者の代わりに「小学生」を預かる保育サービスです。
2015年に法改正があり、放課後児童支援員の資格があると採用に有利になりました。
もちろん保育資格だけでも、働くことは可能ですが学童保育・児童館の現場で活躍することを考えている方は先程の資格を取得して見ましょう。
他にもベビーシッターや、託児所、幼児教室の先生などの転職先があります。
他業種への転職とは反対に、専門学校や大学で学んでいることが専門的なため、同業種への転職は比較的簡単です。
保育士を転職した後のキャリアは、同業種への転職であればキャリアアップの可能性があります。自治体の試験などに主体的に挑戦してみることをオススメします。
円満に退職できる伝え方
保育士を退職する際に抱える3つの悩み、最後は「退職の仕方」についてです。
退職する際には、誰もがトラブルなく、円満に職場を後にしたいものです。
しかし、実際に何のトラブルも無く退職をする事は、ポイントを抑えていなければ非常に難しいです。
ここでは下記の2つのポイントを解説していきたいと思います。
・退職する意思を上手に伝えるには?
・退職日を迎えるまでにすべきこと
退職する意思を上手に伝えるには?
退職の話を切り出すのは、非常に勇気が必要であり難しいことです。
そのため、まずは直属の上司に相談の時間を取ってもらいましょう。
時間を取っていただく上司に対しての敬意も忘れることなく、
「少しご相談があるので2人で話す時間をいただけないでしょうか?」
と時間の調整をお願いしましょう。メールや電話だと誤解を招いてしてしまう恐れがあるため、個室などを用意してもらい直接話せる場を作るようにしましょう。
ここで注意なのは、就業時間外に時間を設けてもらうことです。
理由は、就業時間外の方が時間に余裕があること、子供に聞かれてはいけない内容だからです。上司も自分も帰るのは遅くなってしまいますが、退職を考えるのであれば致し方ないことです。
時間をとってもらえたら、次に退職理由を伝えます。
① 前向きに退職理由を伝えること
② 退職理由は嘘をつかないこと
③ 退職の意思を明確にすること
退職理由は嘘をつかない方が良い、と「職場環境が最悪だった」「残業が多くてとにかくきつかった」とネガティブな理由を並べてしまう方がいますが、これはNGです。
「将来の自分にはこういったやりたい事がある」
「そのために〇〇を学びたい」
「この園ではこういったことを学ばせていただいた」
など、退職理由を明確に、前向きに伝えるようにしましょう。
退職理由を伝える時期には気をつけたほうが良いでしょう。
理想的な退職のタイミングは年度終わりである「3月」です。保育の仕事一区切りつき、退職を受け入れてもらえる可能性が高いからです。
とはいえ、3月に退職したい旨を伝えてはいけません。
3月退職を目指すのであれば、2~3ヶ月以上前の12月~1月に相談するようにしましょう。
退職日を迎えるまでにすべきこと
直属の上司に相談し、園長から退職の承諾を得る事が出来たのであれば、
まず初めにやらなければいけないのは業務の引き継ぎです。
後任が決まっている場合は、退職までに効率よく、漏れがないように確実に引き継ぎ作業に取り組みましょう。保育業務は非常にやる事が多いので、計画的に引き継ぎを行っていく事が大切です。
引き継ぎと同時並行で行っていかなければならないのが、保護者の方への挨拶です。
保護者の方や園児にとって、お世話になっていた先生が急に辞めてしまうのは不安にもなりますし、迷惑であり人として筋が通った行動ではありません。
直属の上司や園長先生に、伝えるタイミングを相談して、こちらも漏れなく計画的に挨拶をしていきましょう。
自分の同僚や保護者の方への挨拶の際、今の仕事をやり抜く姿勢を見せる事が、円満に退職するには必要不可欠です。
伝え方の例として、
「◯月◯日をもって退職する運びとなりました。最後まで精一杯努めますので、よろしくお願いいたします。」
のような誠意が見える挨拶です。この時に退職後の話は避けることをオススメします。理由は、自ら退職後の話をすると、今の仕事に身が入っていないと思われてしまう危険があるからです。
退職が決まったとしても今の仕事を最後までやり抜く姿勢を見せ、誠心誠意一人一人と向き合いましょう。
円満に退職するには、とにかく相手に対して誠意を見せ続けることです。
事実、そのレベルまで育ててくれたのは保育園が仕事を任せてくれたからですし、園児や保護者の方があなたに協力してくれたからです。
誠意を見せることで、「応援される退職」が出来れば、次のキャリアにも良い形で繋がっていくはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
保育士が退職を考える際、誰もがぶつかる「退職金」「退職後のキャリア」「退職の伝え方」について見てきました。
退職することは決して悪いことではありません。
自分自身の人生を見つめ直し、本当に自分は何がしたいのか?を考え直すきっかけにもなります。
この記事を読んで、ぼんやりとしていた「退職する」ということが少しでも明確になったのであれば、小さくても良いので行動を起こして見ましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。