コラム
保育士を辞めたいのはあなただけじゃない|保育士を辞めたい理由TOP7


「もう保育士を辞めたい・・・」
保育士として働く中でこんな気持ちになったことはありませんか?憧れの保育士になれたのにも関わらず、保育士という仕事が思っている以上にキツかったり、給料が安すぎるということで保育士を辞めたくなる方は少なくありません。
しかし・・・。
「自分はまだ始めたばかりだから」
「今自分が辞めては周りの人に迷惑をかけてしまう」
「保育士を辞めてもやりたい事がない」
という気持ちがブレーキとなり、保育士を辞めれずにいる方も非常に多いです。
この記事はそんな保育士を辞めたいと悩んでいる人が一歩を踏み出せるようになる記事です。
保育士を辞めたいと思っているのはあなただけじゃありません。この記事のどこかに、少しでも共感できる部分があれば、転職を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
目次
きついなら保育士をすぐにでもやめるべき理由
結論、保育士をきついと感じているならすぐに辞めてしまいましょう。
その理由は次の3つです。
・理由①:病気になってからでは遅い
・理由②:不幸な環境に慣れてしまってはいけない
・理由③:安心して、転職先はたくさんある
一つずつ解説します。
理由①:病気になってからでは遅い
保育士がなってしまうリスクの高い病気の一つに「うつ病」があります。
実際、生涯にうつ病を発症する人の割合が13人に1人とされる中でも、「保育・介護関係の仕事」が最もリスクが大きい職業と言われています。
保育士は保護者対応や職場の人間関係、さらにアレルギー対応や発達障害への配慮など、神経をすり減らすことが多い仕事なのでうつ病になりやすい傾向にあります。
うつ病の症状としては・・・。
・眠れない
・逆に過度に寝てしまう
・食欲が湧かない
・逆に食べすぎてしまう
・月経不順
・性欲の低下
・頭痛
・肩こり
・体重が落ちる
・疲れが取れない
などがあります。
うつ病患者には、責任感が強い、融通がきかない、仕事ができるなど比較的優秀で真面目なタイプに多いと言われています。治療法は「休息をとる」、「薬物療法」など様々ありますが、何よりもうつ病になってしまっては治療するのに労力と時間がかかります。
責任感を持って働くことは非常に大切なことです。
しかし、責任を背負いすぎるあまり「自分自身を壊してしまうこと」だけは絶対に無いようにしてください。
人生は長いです。逃げ出してもいいんです。
何よりもまず自分の体、健康を大切にしてください。体は何よりの資本です。心身ともに健康に働けないのであれば、保育士を辞める選択を取りましょう。
理由②:不幸な環境に慣れてしまってはいけない
「保育士を辞めてよかった!」という声はたくさん聞きます。
ですが、「保育士を続けて現状が改善された!」という声を聞くことは非常に珍しいことです。園の環境は運営元が変わったり、外部のコンサルタントが入らない限り、劇的に変わることはありません。
保育方針や労働条件、職場の雰囲気や人間関係を作り出すのは園長や副園長、主任保育士などの「その保育園に長く居座る人」達です。運営陣の意識や方針が変わらない限り、現状が変わることはありません。
そして一番危険なことは、その不幸な環境に「慣れてしまう」ことです。
自分にとって「これが当たり前」と思ってしまっては、本当の意味で幸せが訪れることはありません。
もし今、
「これ以上この園で働けない」
と感じているのであれば、不幸な環境に慣れてしまう前に職場を変える勇気を持ってください。
理由③:安心して、転職先はたくさんある
専門学校や大学から保育士になる方は非常に多いです。
そういった方が、いざ保育士から退職するとなると、不安になるのは
「退職後、自分に転職先はあるのか?」
ということでしょう。一般職への転職ももちろん視野に入れるべきですが、まずはご自分の経験を生かした職場への転職をまずは優先的に考えてみてはいかがでしょうか?
・保育ママ(家庭福祉員)
・介護職
・院内保育園
・学童保育・児童館
・ベビーシッター
・託児所
・幼児教室の先生
などがあります。
「自分にはこの仕事しかない」と思い詰める前に、まずは「自分は本当は何がしたいのか?」を見つめ直してみてください。
保育士を辞めたいと思っているのはあなただけではない
保育士を辞めたいと思っているのはあなただけではありません。
それは保育士業界の離職率に数字としてあらわれています。
他業界と比較すると保育士の離職率は高い?
平成30年に厚生労働省が行った雇用動向調査結果を参考に、業界ごとの離職率を見てみましょう。
この調査によれば、全業種の平均離職率は11.3%となっています。
上記のグラフは離職率の高い業界のTOP5をまとめたものです。
1位は「宿泊業・飲食サービス業」で26.9%でした。ホテルの従業員や飲食店のスタッフなどは、賃金も安く人の入れ替わりが激しいのが特徴です。
この業界は、日本では専門学校も充実しており、人材が常に供給され続けるため賃金が低くなる傾向にあります。
2位の「生活関連サービス業・娯楽業」や3位の「サービス業」も同様の理由で賃金が低い傾向にあります。
保育士が含まれる「医療,福祉」はランキングとしては5位です。
全業種の平均離職率と比較すると、4%近く高い結果となっています。
「医療,福祉」のジャンルには、他の業種も含まれているので一概には言えませんが、保育士は平均よりも離職率が高い業界と言うことができます。
保育士業界の離職率
参考:保育士等に関する関係資料
表は、厚生労働省が発表する平成25年度の採用者数、退職者数のデータをもとに作成したものです。
保育士全体の離職率は10.3%となりました。
公営の方が離職率が低いのは、労働時間やお給料、福利厚生などの待遇が私営と比較すると充実しているためです。
このグラフから、1年に約1割の保育士が退職していることがわかります。
保育士を辞めたいと感じているのは、あなただけではありません。
では、どのような理由で保育士を辞めたいと感じるのでしょうか?
保育士を辞めたい理由TOP7
ここでは平成30年に報告された「東京都保育士実態調査」を元に、保育士を辞めたい理由TOP7は以下のグラフの通りです。
参考:東京都保育士実態調査を元に作成
理由のみだけでなく、実例やデータも紹介しているので
一つでも共感できる理由があった方は、保育士からの転職を考えてみてください。
給料が安い
保育士を辞めたい理由、第一位は「給料が安い」です。
令和元年、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月収は全国平均で24万4500円となっています。そこに年2回のボーナスを含めると、保育士の平均年収は363万4600円となっています。
参考:賃金構造基本統計調査
保育士の給料を年齢別で比較すると20代の平均月収は約22.5万円ほど、30代の保育士さんと比較すると約2万円、40代の保育士さんとでは約3万円ほどの差が生じます。
厚生労働省の発表では、大卒の初任給は約20万円なので、他職種と比べても20代のうちはそれほど差がないことがわかります。
一番年収が高くなるのは50代の411.9万円。
この年代では役職にも就き、任される責任も大きくなることから年収が最大になります。
保育士は働く年数を重ねるごとに月収やボーナスが上がっていく仕組みです。
現場での保育経験を積み、できることが増えるのと同時に給料も増えていきます。
昇給は非常に緩やかな傾向にあり、20代で22.5万円だった月収が、30代ではわずか2万円ほどしか上昇を見せていません。
入社する年齢や時期にもよりますが、約10年かけてわずか2万円の上昇ではモチベーションも下がってしまいますよね。
この給料で、残業も多く休憩も取れない職場で働いていては「自分の給料は時給換算したらいくらなんだろう、」
とストレスを抱え、辞めたくなってしまいますよね。
また自分の給与や保育士を目指している方にとって、給料をアップさせるための方法について解説をした記事も参考にしてみてください。
仕事量が多い
保育士を辞めたい理由、第二位は「仕事量が多い」です。
世間のイメージでは、保育士の主な仕事は「子供の面倒を見ること」です。
しかし、実際はそれだけが仕事ではなく、日々膨大な事務作業をこなしています。
平成27年に厚生労働省が発表した「保育士等に関する関係資料」では、保育士一人当たりの主な業務の時間及び、業務発生率が報告されています。
出典:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_3.pdf
業務時間が最も多いのは子供たちとの「室内遊び」で平均62.6分、次いで「会議・記録・報告(施設内の活動)」で平均52.5分でした。
表をご覧いただければわかるように、日案、週案、月案、連絡帳の記入、個人指導案・記録、年間計画、クラスや保育園だより、イベント行事の準備など多岐にわたります。
これらは保育仕事の傍ら、子供たちが外遊びをしていたり、お昼寝している合間に行うことになります。もちろん勤務時間内に終わることは少なく、サービス残業や持ち帰って作業をし、どうにか完成させるのです。
こういった仕事量の多さが保育士を辞めたいと思わせる理由になっています。
そして特に、新米保育士を悩ませるのはやはり、「子供への接し方」でしょう。
主な業務内容の中にも「室内遊び」、「表現活動への支援」、「愛着・スキンシップ」、「食事摂取の援助」など子供と接する業務が多いです。
新米保育士は子供とどのように向き合い、成長をサポートしていけば良いのかがわかりません。十人十色という言葉があるように、子供一人一人には個性があります。
「本当に今の関わり方で間違っていないか?」「これで本当にあっているのか?」日々自問自答し、悩んでいます。
ベテランは言葉の引き出しをたくさん持っています。
そのためすぐに対応することができますが、新人保育士にはそれができません。
子供との接し方の正解がわからず上司に相談をする、アドバイスをもらった通りにやって見る。
仕事ができるようになるために新人保育士も努力をしますが、多くの保育の現場は指導はあってもフィードバックがない場合が多いです。
成長に一番大切なのはフィードバックであり、それがなければ個人の成長はありません。
そのため今の自分がやっていることはあっているのかどうか?不安を抱えながら、正解のわからないまま子供と接し続けなければいけません。
こういったストレスも新米保育士を追い込み、保育士を辞めたいと感じさせる原因になっています。
労働時間が長い
保育士を辞めたい理由、第三位は「労働時間が長い」です。
シフト制の保育士の勤務時間は、全国保育協議会の調査によると、開始時間は平均「7時台」、終了時間は平均「19時台」の施設が最も多い結果になりました。
平均にすると約11.7時間もの間、保育園は空いており、多くの保育士は働いています。
これらの数値を踏まえると、早番・中番・遅番は以下のような時間帯になります。
・早番:7:00~16:00
・中番:8:00~17:00 (9:00~18:00)
・遅番:10:00~19:00
シフト制勤務では3交代制を採用しているところが多いですが、近年は様々なシーンに対応するために4~7交代制というところもあるようです。
また保育の現場では休憩を取れない場合もあります。労働基準法では休憩時間において、こう定められています。
引用
“原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければいけません。”
労働基準法ではこう定められていますが、実際は緊急の仕事、保護者対応などで1時間以上の休憩を取れている保育園は非常に少ないのが実態です。
朝から休憩も無しに働き、家に帰ってはサービス残業、これでは保育士を辞めたいと感じるのも無理はありません。
職場の人間関係
保育士を辞めたい理由、第四位は「職場の人間関係」です。
男性保育士の人数は年々増加傾向にあるものの、保育の現場はまだまだ女性社会。
政府の統計によると、2018年度の保育士の人数は、女性保育士21万6220人・男性保育士1万3400人とされています。
保育資格があるのにもかかわらず、現在保育士として働いていない「潜在保育士」は全国に80万人以上もいます。最も保育士の多い東京都の調査によると、過去に保育士として働いていた方の退職理由1位が「職場の人間関係」でした。
この職場の人間関係が多くの現役保育士を悩ませ、「潜在保育士」の復帰をためらわせています。
保育園は、主に園長と限られた人数の保育士で構成されているとても狭い世界です。
役職については、基本的に園長、副園長、主任の3つの役職以外は横並びとなっています。保育士の仕事は成果や貢献度合いが、明確に数値化されていないため、それらを図る指標もありません。そのため、上下関係は「勤務歴の長さ」によって決められています。
そういった保育士の不明確な評価基準によって、現場には
・陰口や悪口
・無視やいじめ
・派閥やグループの対立
が横行しています。繁忙期や忙しい職場ではどうしても口調が強くなってしまったり、リアクションができず、結果的に無視することになってしまう、なんてことはよくあることです。
そういった女性同士の人間関係を意識するあまり、本来の仕事である保育に集中できずに余計な神経を使ってしまい、そのストレスが精神を病ませてしまうことに繋がります。
せっかく憧れの保育士になったのに、人間関係で保育の仕事を嫌になりたくないもの。人間関係に悩んでいる人に向けて下記のようなコラムも書いているのでもしよければ見てくださいね。
他業種への興味
保育士を辞めたい理由、第五位は「他業種への興味」です。
保育業界は非常に閉鎖的なコミュニティでもあります。
保育園に就職する人のほとんどは、元専門学生や元短大生であり他の業種で働いたことがありません。また、働いている時間も長く休日も少ないため、保育士以外の方とコミュニケーションをとる機会も少ないです。
そういった閉鎖的なコミュニティの中で他業種に対して興味を持つのは当然のことでしょう。
子供と関わるだけでなく、保護者の対応や事務作業などを現場で学んできた保育士の経験は他業界でも活かす事ができます。
例えば、子供と接することの多いレジャー業界では、保育士の経験を存分に活かす事ができます。
遊具に順番待ちで並んでいる子供達を楽しませたり、子供が倒れた、怪我をしたなどの有事の際には適切な対応をする事ができます。
他にも子供向けサービスを取り扱う玩具屋さんやアパレルショップ、子供向けフォトスタジオなどでも経験を活かす事ができるでしょう。更に、同業種への転職で保育士は重宝される傾向にあります。
代表的な例としては・・・。
・保育ママ(家庭福祉員)
・介護職
・院内保育園
・学童保育・児童館
・ベビーシッター
・託児所
・幼児教室の先生
などがあります。
保育士は他業界からの需要もあるため、転職という決断を取る保育も非常に多いのです。
職業適性に対する不安
保育士を辞めたい理由、第六位は「職業適性に対する不安」です。
保育士という職業には様々な適性が必要とされます。
その代表例として。
・コミュニケーション能力
・健康管理能力
・気配り力
・論理的思考・行動力
・忍耐力
などが挙げられます。
しかし、こういった適性を最初から持っている人は非常に少ないです。
「適性は徐々に身についていくもの」と頭ではわかっていても、
・ピアノが上手に弾けなくて子供達を悲しませてしまった。
・段取りが悪く、先輩保育士に迷惑をかけてばかり。
・仕事が多忙で抜けが多く怒られ続ける毎日。
このような事が続いてしまえば、自分に自信を持てなくなり「私は保育士に向いているのかな?」と不安になってしまいますよね。
職業適性に対する不安は多くの保育士が抱えている悩みだと言うことができるでしょう。
保護者対応の大変さ
保育士を辞めたい理由、第七位は「保護者対応の大変さ」です。
保育士として避けては通れないのが保護者対応です。
もちろん、保護者との良好な関係を築けることも多いのですが、近年、保護者からのクレームはエスカレートしており、理不尽な要望も多くなってきています。
例えば、子供が熱を出した場合、コロナ禍の現在では園児の登園を控えてもらう約束になっています。しかし、働いている保護者からすると、子供の預所が無くなってしまっては仕事ができません。そのため、保育士さんが登園するのをやめていただくようにお願いしても、
「うちの子に園に来るなということですか?」
とトラブルになってしまうケースが多いのです。これはコロナ禍の現在だからこそ難しい問題ですが、新米保育士はこういった対応に慣れていません。こういったクレーム対応に神経をすり減らしてしまう保育士も多いことが現状の問題としてあります。
さらに、常識的に考えられないようなクレームをつける保護者は、対応を間違えるとさらに騒ぎを大きくすることがあります。理不尽だと感じても謝るのは保育士です。
こういったクレーム対応が重なり、保育士の中に大きなストレスが溜まっていきます。
保育士の転職は難しい?
しかし、事実としては保育士から他業種への転職は簡単ではありません。
その理由は、保育の専門学校や大学などで学ぶ内容が保育分野に専門的であるため、学んだことを活かせる場所が限られているためです。
そのため、保育施設以外の仕事で、「保育の知識や経験を十分に発揮することは難しいだろう」とみなされてしまいます。保育士以外の職種では勉強した内容を認めてもらえず、高卒として扱われるのです。
保育現場で学んだ主観的な経験は、転職の採用面接の際には評価されづらいです。
他業種への転職を考えているのであれば、下記のような手段をとってみるのもありです。
・自分を客観的に評価してくれる資格などを取る。
・転職エージェントを頼る。
同業種への転職でも、今よりも好条件の職場を見つけたいのであれば転職エージェントを頼ってみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は保育士をやめるか悩んでいる方に向けて、保育士を辞めたい理由TOP7を紹介させていただきました。
冒頭でもお話しした通り、保育士を辞めたい理由に少しでも共感し今の職場で「これ以上この園で続けられない」と感じているのであれば、勇気を出して転職を考えてみてください。
本当に大切なのは、その職場で働き続けることではなく、「自分は何がしたいのか?」です。
この記事があなたらしい人生を過ごすきっかけに少しでもなれたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。