コラム
保育士が転職で失敗する原因は?失敗しないための7つのポイントを解説


転職を考えたときに「失敗するのが怖い」と悩む人はたくさんいます。
思い切って転職したはいいけれど「転職しなくて良かったかも・・・」と後悔することも少なくありません。求人を募集している園には、人の入れ替わりが激しいブラック保育園が紛れていることもあります。
自分が納得できる転職ができるように、希望条件にあった保育園を見極めましょう。保育士が転職で失敗する原因と失敗しないためのポイントを解説します。
保育士が転職して「失敗した」と感じるとき
いざ転職したものの「失敗した・・・」と感じる保育士は少なくありません。
実際に転職して失敗したと感じるときについて紹介します。転職したことを後悔しないためにも、参考にしてみてください。
思っていたより給料が上がらなかった
給料アップを目的に転職したのに「思っていたより給料が上がらなかった」「むしろ転職したことで給料が減ってしまった」ということは珍しくありません。
月給は上がったけれどボーナスがなかったり、あっても少なかったりすると、結果的に年収が下がってしまいます。また、残業がない代わりに持ち帰りの仕事が多いと、残業代が支給されなくて給料が減ってしまうということもあるでしょう。
仕事量は変わらないのに給料が上がらなかったり減ってしまったりするとモチベーションが下がってしまいます。転職したことを後悔しないためにも、求人情報をしっかりと見極めることが大切です。
転職した後のほうが忙しくなった
「給料も良いし、保育方針も合っていて、とても良い保育園に転職できた」と思ったら、実際には忙しくて休む時間がないということは少なくありません。
毎日時間に追われていると「どうして転職したんだろう・・・」と後悔する原因になります。残業や持ち帰りの仕事ばかりだと、給料が良くても割りに合わないと感じるでしょう。
特に注意したいのが「行事」と「保育士の人数に余裕があるか」です。行事は計画を立てたり、子どもの指導をしたりと通常業務に加えて仕事量が増えます。
頻繁に行事があると、その分忙しくなるでしょう。また、保育士の人数が少ないと、一人あたりの仕事量が増えてしまいます。保育士が少ないと、時間的にも精神的にも余裕がなくなるので注意が必要です。
保育方針が合わなかった
待遇面ばかりを重視して保育方針を把握せずに転職すると、保育方針が合わなくて働きづらさを感じてしまいます。長く働くうえで、やりがいをもって働ける環境は大切です。
志望する園のホームページで、ある程度の情報を確認します。そのうえで、実際に園を見学することで、どのように保育しているかがわかるでしょう。
新しい職場になじめない
職場の人間関係は大切です。早く職場に慣れようと、積極的に話しかけても反応がイマイチ・・・だと気持ちが沈んでしまいます。いくら待遇が良くても職場の人間関係が悪いと、気持ちよく働けません。
クラス担任になると、最低でも1年間は同じ保育士とチームを組むことになります。クラス運営や行事、子どもの成長についてなど、定期的な話し合いが必要です。人間関係が悪いと、情報の伝達や共有がスムーズにできず、保育に支障が出てしまいます。
「前の園は待遇がイマイチだったけど、人間関係が良くて楽しかった」と後悔しないためにも、園の雰囲気や保育士の様子を事前に確認しておきましょう。
保育士が転職で失敗する5つの原因
保育士が転職で失敗するいちばんの原因は「転職するための準備不足」です。
転職するという意欲はあっても、転職するための準備を怠ると失敗してしまいます。保育士が転職で失敗する原因を紹介します。
表面的な条件のみで決めてしまう
給料アップを目的に転職して、モデル年収や月収◯円(経験によって異なる)など好条件ばかりを鵜呑みにしていませんか?求人情報に記載されている条件はあくまで参考値です。「経験年数が長いから、すぐに昇給するだろう」と思い込む人も多いですが、実際には最低金額からスタートすると思っておきましょう。
また、求人情報によって表記の仕方はさまざまです。額面は良くても手当や残業代、交通費などが含まれている可能性があります。試用期間がある場合は、試用期間中の減給があるのかを確認しておきましょう。
また、休日の表記も注意が必要です。完全週休2日制の場合は「1週間のうち必ず2日休み」ですが、週休2日制の場合は「ひと月に2日休みの週が最低1回ある」ということなので全く意味が異なります。
転職したことを後悔しないためにも、細かいところまでチェックすることが大切です。
先入観や園のイメージのみで決めてしまう
「大規模園より小規模園のほうが子どもの人数が少なくて働きやすそう」「小さい園より組織運営している園のほうが安定していそう」など先入観や園のイメージだけで転職を決めるのは危険です。
小規模園は子どもの人数が少ない分、保育士の人数も少ないため、休みが取りづらかったり保育士一人あたりの仕事量が多かったりすることがあります。また、組織運営している園だからといって給料や待遇が良くて安定しているとは限りません。
世間の価値観に惑わされず、自分の希望条件に合った園を探すことが大切です。そのために、求人情報をさまざまな角度から見て、わからないことは質問するようにしましょう。信頼できるエージェントに、志望する園の情報を聞いてみるのもおすすめです。
転職する目的があいまいだった
転職する目的があいまいだと「どうして転職したいのだろう」と自分の軸がブレてしまい、転職したことを後悔してしまいます。
自分がなぜ転職したいのか、長期的に見てどのようなキャリアを築いていきたいのか?をしっかりと考えてから転職活動しましょう。
先に退職してしまう
「人間関係につかれた」「仕事量が多くて自分の時間がない」と転職先を決める前に退職したくなる人も多いでしょう。転職より先に退職してしまうリスクは、金銭面や精神面の負担が大きいことです。
保育士の求人がたくさんあるからといって、すぐに転職先が決まるとは限りません。仕事をしないと収入が途切れてしまうので、金銭面や精神面での余裕がなくなります。そのため「早く転職しないと」と焦って転職先を決めたために失敗してしまう人がたくさんいます。
働きながらの場合、転職活動する時間や園見学に行く時間が少ないので大変です。たとえ転職先が決まったとしても、退職のタイミングを誤るとなかなか辞められずに困ってしまうこともあります。
働きながらでも退職した後でも、転職活動にはリスクがあることを頭に入れておきましょう。転職活動するときは、計画を立てて着実に進めることが大切です。
保育士の転職を甘くみている
「保育士の求人はたくさんあるから失敗してもまた転職すればいい」と保育士の転職を甘くみていませんか?確かに保育士不足が問題となっていて、保育士の求人はたくさんあるので探しやすくなっています。
しかし、求人がたくさんあるからといって、自分に合った職場に出会えるとは限りません。何度も転職を繰り返していると、保育士としての成長を妨げるだけでなく、採用側も「採用してもすぐに辞めてしまうのでは?」と不信感を抱いてしまいます。
安易に転職を考えるのではなく「本当に転職するべきなのか」「転職するときの条件はなにか」をしっかりと考えて行動することが大切です。
保育士が転職で失敗しないための7つのポイント
転職するときは、だれでも不安になるものです。転職で失敗しないためのポイントをおさえて、自分が納得できる転職先を選びましょう。
希望条件を明確にする
「給料は下げたくない、残業はしたくない、自分の思い描く保育がしたい・・・」など、転職の条件はさまざまです。しかし、すべての希望を叶えるのは難しく、転職活動が長引く原因になります。
まずは、希望条件を明確にして優先順位をつけましょう。転職の目的を明確にして、目的を達成するための条件はなにかを考えます。希望条件に優先順位をつけることで、理想に近い転職先を探しやすくなるでしょう。
志望する園の情報を収集する
志望する園の情報収集は必ず行いましょう。求人情報を見ただけで転職先を決めてしまうと、転職した後に後悔する原因になりかねません。園のホームページを見れば、ある程度の情報や園の雰囲気がわかります。
また、求人情報やホームページに記載されていない部分を知れると良いでしょう。そのためには、保育園の口コミをチェックするのがおすすめです。保護者のリアルな口コミから、志望する園の細かい情報までわかるでしょう。
園を見学する
気になる園を見つけたら、園を見学しましょう。子どもや保育士の様子を直接見て確かめられます。園を見学するときに見ておきたいポイントは7つです。
・保育士の労働環境
・保育士の雰囲気や子どもへの接し方
・保育士の人数に余裕があるか
・園の雰囲気が良いか
・衛生面や安全確保に問題はないか
・おもちゃや遊具が充実しているか
・園の方針が自分に合っているか
園の見学を快く引き受けてくれるところは、自分の園に自信があるともいえます。防犯上、園の見学を実施していないところもありますが、断られた場合は理由を確認しておきましょう。
また、園を見学することで、履歴書や面接での志望理由が伝えやすくなります。「ここの園で働きたい」という意欲が伝えられるので、採用される可能性も高まるでしょう。
第三者の意見を聞く
第三者からの客観的な意見を聞くと、自分では気が付かない面を知れるかもしれません。求人情報や園の雰囲気を伝えてどう思ったかを第三者に聞いてみましょう。
保育士であれば同業者目線での意見、近所の人や保護者なら園の細かい部分、保育士に関係ない仕事をしている友達なら転職のアドバイスがもらえます。
また、転職エージェントに相談するのもおすすめです。プロからの意見やアドバイスは、転職活動するうえでとても参考になるでしょう。
頻繁に求人を募集していないか
こまめに求人情報をチェックしていると、頻繁に求人を出している園を見かけます。頻繁な求人募集や求人数が多い園は要注意です。
求人が頻繁に出ているということは、常に保育士が足りていないということです。人の出入りが激しかったり、園自体に問題があったりする可能性が高いでしょう。
選択肢を自分で狭めない
「保育士だったから保育園での転職しか考えていない」「小規模保育園に限定して求人を探そう」とはじめから選択肢を狭めていませんか?転職活動を効率よく進めるために選択肢を絞る人は多いです。一方で、たくさんの情報に触れることで、より条件にあった転職先を見つけられるでしょう。
たとえば、保育士の資格やスキルがあれば、保育園以外の転職も可能です。
・病児保育
・乳児院、児童養護施設
・学童保育
・児童館、子育て支援センター
・幼児教室
・ベビーシッターなど
また、希望条件によっては、正社員に限らずパートや派遣を検討することでより働きやすくなるかもしれません。はじめから選択肢を狭めすぎず、さまざまな視点を持って転職活動してみましょう。
本当に今の園を辞めるべきか考える
現状を変えたいという思いが強いと転職ばかり考えてしまいがちですが「本当に転職するべきなのか」をもう一度考えてみましょう。今の園での不満はなにか、改善する方法はないかを整理します。マイナス面ばかり見ていると、恵まれた環境で働いていることに気づけていない可能性があります。
保育園から保育園への転職の場合、仕事内容はほとんど変わりません。そのため、希望条件に合った職場に転職しないと後悔することになるでしょう。
転職回数が多いとマイナスイメージになりかねません。そのため、転職という判断が正しいかどうかを冷静に考えるようにしましょう。
まとめ
転職するとき「失敗するのが怖い」と悩む人はたくさんいます。転職前のほうが働きやすかったと後悔しないためにも、希望条件を整理しておくことが大切です。そのうえで、しっかりと情報を収集しておきましょう。また、転職する前に「本当に転職するべきか」を考えてみてください。マイナス面ばかりに目が向いて、恵まれている環境で働けていることに気がついていない可能性があります。
安易に転職を繰り返すのは、保育士としての成長を妨げてしまいます。今の環境を変えたいという気持ちもわかりますが、冷静に考えて後悔しない選択ができるようにしましょう。